鹿島かしま宇宙うちゅう技術ぎじゅつセンターには、WINDSウインズプロジェクトとETS-8イーティーエスエイトプロジェクトという人工衛星じんこうえいせい使つかった通信つうしん研究けんきゅうするグループと、望遠鏡ぼうえんきょう使つかって人工衛星じんこうえいせい軌道きどう研究けんきゅうするグループがあるぞ。ここではそれぞれの紹介しょうかいをしよう!

きずな(WINDSウインズ)は、だれもが平等びょうどう高速こうそく通信つうしんサービスをけることができる社会しゃかい実現じつげんするため、最大さいだい1.2Gbps(一般家庭いっぱんかていやく100倍!)の超高速ちょうこうそくでデータ通信つうしんおこなうことができる超高速ちょうこうそくインターネット衛星えいせいです。

友達ともだちとメールでやりとりしたり、オンラインショッピングをたのしんだり、映像えいぞう音楽おんがくをダウンロードしたり・・・。もはやインターネットは、わたしたちの生活せいかつにとってくてはならないものになりました。
しかし人口じんこうすくない山間部さんかんぶ離島りとうでは地上ちじょう整備せいびコストがたかく、整備せいびとどいていない場所ばしょもあるのです。

「きずな」は、おおがかりな地上ちじょう設備せつび必要ひつようとしません。今後こんごますます重要じゅうようになってくるインターネット通信つうしんをよりよいものにするために、大容量だいようりょう超高速ちょうこうそく通信つうしんサービスをおおくの人々ひとびと提供ていきょうすることがきずな(WINDSウインズ)の目的もくてきです。

※Gbps(ギガビット毎秒まいびょう)とは、一定いってい時間じかんにどれだけのデータを送受信そじゅしんできるかという、データの通信つうしん速度そくどのことです。

きずなのココがすごい!

きずな(WINDSウインズ)は世界せかいはじめて最大さいだい1.2Gbpsという超高速ちょうこうそく通信つうしん可能かのうにしました!複数ふくすうのビーム(通信用つうしんよう電波でんぱ)を使つかって、効率こうりつよく目的地もくてきち通信つうしんすることができます。
鹿島宇宙技術かしまうちゅうぎじゅつセンターが所属しょぞくする情報通信研究機構じょうほうつうしんけんきゅうきこうNICTエヌアイシーティー)が開発かいはつ担当たんとうしたのは搭載とうさい高速こうそくスイッチング・ルータ (ATMエーティーエム交換機こうかんきルータ)という部分ぶぶんです。これにより衛星上えいせいじょうで155Mbps x 3チャネルという高速こうそく情報じょうほう交換こうかんおこな交換機こうかんき搭載とうさいすることができました。

きずな(WINDSウインズ)は大掛おおがかりな地上局ちじょうきょく必要ひつようとしません。一般家庭いっぱんかていCSシーエス放送ほうそうアンテナとほぼおなおおきさ(直径ちょっけい45センチ程度ていど)のアンテナを設置せっちすれば、最大さいだい155Mbpsのデータ受信じゅしん可能かのうになります。なので、まんいち災害さいがいによって地上ちじょうのネットワークが寸断すんだんされても、小型こがたのアンテナを設置せっちすればすばやくブロードバンドの通信つうしん確保かくほでき、ハイビジョンのような高解像度こうかいぞうど映像えいぞう災害さいがい対策たいさく本部ほんぶ確実かくじつおくることができます。2011年(平成へいせい23年)の東日本ひがしにほん大震災だいしんさいのときも鹿島宇宙技術かしまうちゅうぎじゅつセンターから東北とうほく被災地ひさいち小型こがたアンテナをっていき、被災地ひさいち情報じょうほう収集しゅうしゅう役立やくだちました。

現在げんざいは、資源しげん探査たんさ環境かんきょう気候きこう変動へんどう地震じしん津波つなみ災害さいがいなど、様々さまざま課題かだい解決かいけつするため、海洋かいよう観測かんそくられるデータの観測かんそく精度せいど向上こうじょうさせ、その情報じょうほう効果的こうかてき活用かるようするための研究けんきゅうおこなっています。宇宙うちゅう衛星えいせい)をかいした海上かいじょうから深海しんかいにまでいたるリアルタイムな“うみのブロードバンド”について研究けんきゅうすすめていきます。

きく8ごう(ETS-8イーティーエスエイト)のアンテナは、片面かためんがテニスコートのおおきさで世界せかい最大さいだいクラス!感度かんどたかいためとてもちいさな端末たんまつでも問題もんだいなく通信つうしんができます。この衛星えいせい利用りようして災害さいがい早期そうき発見はっけんするための研究けんきゅうをおこなっています。

きく8号(ETS-8イーティーエスエイト)は日本にほん上空じょうくう宇宙うちゅうおおきなアンテナをひろげています。そのため、日本中にほんじゅう山間部さんかんぶ離島りとううみうえや、さらに周辺しゅうへんのアジアの国々くにぐにとのあいさでも、いつでも通信つうしんをすることができます。きく8ごうがあれば、地震じしん台風たいふうなどの自然しぜん災害さいがい地上ちじょう中継局ちゅうけいきょく電話局でんわきょくこわれて音信おんしん不通ふつうになってしまい、被害ひがい状況じょうきょうがまったくわからないということをふせぐことができるのです。

災害さいがい早期そうき発見はっけんせよ!

きく8ごう(ETS-8)は、災害さいがい早期そうき発見はっけんすることも期待きたいされています。たとえば大地震おおじしんのときに津波つなみたかさを一早いちはや観測かんそくしてその情報じょうほうつたえることです。

GPSジーピーエス津波計つなみけいは、宇宙うちゅう技術ぎじゅつもちいて海面かいめん変位へんい計測けいそくする装置そうちです。東日本ひがしにほん大震災だいしんさいのときには、国土交通省こくどこうつしょう港湾局こうわんきょく整備せいびした釜石沖かまいしおきGPSジーピーエス波浪計はろうけい津波つなみたかさを6.7mと観測かんそくし、このデータなどを根拠こんきょとして気象庁きしょうちょう津波つなみ警報けいほうげました。しかし、被災地域ひさいちいき停電ていでん第1波だいいっぱ以降いこうのリアルタイムデータが発信はっしんされなくなりました。また、これまでの計測けいそく方法ほうほうでは陸上りくじょう基準局きじゅんきょく計測けいそくされたデータを必要ひつようとするため、基準局きじゅんきょくとの離岸りがん距離きょりが20km程度ていど限定げんていされるという課題かだいがありました。

これらの課題かだい解決かいけつするため、鹿島宇宙技術かしまうちゅうぎじゅつセンターのETS-8イーティーエスエイトプロジェクトグループでは、高知県沖こうちけんおき設置せっちした海上かいじょう津波計つなみけいのデータをきく8ごう経由けいゆしてとおくはなれた茨城県いばらきけん鹿嶋市かしまし鹿島宇宙技術かしまうちゅうぎじゅつセンターまで送受信そうじゅしんするという実験じっけんおこない、見事みごと成功せいこうしました。今後こんご衛星えいせい回線かいせんもちいたデータの伝送でんそう手段しゅだん確保かくほされれば、衛星えいせいとど範囲はんいでの距離きょり制限せいげんがなくなり、うみのどこにでもGPSジーピーエス津波計つなみけい設置せっちすることが可能かのうになります。これらの研究けんきゅう 災害さいがい早期そうき発見はっけんのため大変たいへん注目ちゅうもくされています。

口径こうけい35cm光学こうがく望遠鏡ぼうえんきょうGPSジーピーエスからの信号しんごう使用しようして、光通信機ひかりつうしんき搭載とうさいした低軌道ていきどう小型衛星こがたえいせい高精度こうせいど軌道きどうもとめる研究けんきゅうおこなっています。

鹿島かしま宇宙うちゅう技術ぎじゅつセンター本館ほんかん屋上おくじょう設置せっちされている2だい口径こうけい35cm光学こうがく望遠鏡ぼうえんきょうは、これまで静止せいし衛星えいせい地上ちじょうからやく36,000kmの静止せいし軌道きどうまわ人工衛星じんこうえいせい)のみを観測かんそく対象たいしょうとしてきましたが、地上ちじょう500km~1000km付近ふきんまわ低軌道ていきどう小型こがた衛星えいせい観測かんそくもできるように、架台かだい、CCDカメラ、観測かんそく制御せいぎょプログラムおよびデータ解析かいせきプログラムの改修かいしゅうすすめています。

小型こがた人工じんこう衛星えいせいは、開発かいはつ期間きかんみじかくすることができ、とおくまではこばなくてもよいのでげのコストをひくくできます。そのため幅広はばひろ分野ぶんやでの人工じんこう衛星えいせい利用りよう目指めざしてどんどん開発かいはつすすめられています。どのくらい小型こがた衛星えいせいかというと、わたしたちの研究けんきゅうチームが対象たいしょうにしているのは、おおきさはだんボールばこくらいで50kgほど。うえ説明せつめいででてきたWINDSウインズETS-8イーティーエスエイトが約2〜3トン(2,000kg〜3,000kg)のおおきさなので、とてもちいさいことがわかりますね。
小型こがた衛星えいせい当然とうぜん、なかに搭載とうさいする機器きき小型化こがたしなければならないため、通信つうしん電波でんぱではなく、レーザーこう使つかった光衛星通信ひかりえいせいつうしんシステムがよりてきしています。わたしたちの研究けんきゅうチームは、衛星えいせいはっするレーザーこうから衛星えいせい軌道きどう正確せいかくもとめる研究けんきゅうをおこなっています。

低軌道ていきどう光通信ひかりつうしん衛星えいせいビデオ(約1分40秒)

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