地球は、宇宙に浮かぶ小さな島です。 この島には、太陽から吹き出す風(太陽風)や波がうちよせています。 ときには、津波がくることがあります。 すると、地球付近の宇宙環境を乱し、地球では磁気嵐がおこったり、オーロラが光ったりします。 このとき人工衛星の部品がこわれたり、姿勢が変わったりすることがあって、とても困ります。 あらかじめ津波がくるのがわかっていれば...
そこで、私たち情報通信研究機構(NICT)は、アメリカの海洋大気局(NOAA)の宇宙天気予報センター(SWPC)などとの国際協力事業として、リアルタイムでACE探査機の観測する太陽風のデータを受信するシステムを構築しました。 ACE探査機は、アメリカの航空宇宙局(NASA)により1997年8月25日、打ち上げられました。 ACE探査機は太陽と地球の引力がつりあうラグランジュ点(L1)の近くで、太陽風を観測します。 このラグランジュ点を通過した太陽風は約1時間後に地球にやってきますので、 ACE探査機は、太陽風の津波を地球にやってくる約1時間前にみつけることができます。
私たちは、リアルタイムでのACE探査機の太陽風データ受信システムの構築とともに、太陽風の変化から宇宙環境変動の予報をする研究「宇宙天気予報」を進めています。 ACE探査機による「宇宙天気予報」システムが完成すれば、宇宙環境の予測がきめこまかくなり、人工衛星を利用したさまざまなシステムの安定性が向上することは間違いないでしょう。