1999年6月2日のVLBI標準インターフェース(VSI)打ち合わせの様子
日時: 1999年6月2日(水)13:30−18:15
場所: 鹿島宇宙通信センター 小会議室
参加者(敬称略):
通総研 − 近藤、栗原、小山、中島、市川、関戸、鈴山 (鹿島)
木内、瀬端 (小金井)
国立天文台 − 川口
議事(一部敬称略):
まず、近藤が前回の会議の様子 の説明を行ったが、
VLBI標準インターフェース(以下VSI)制定までのプロセスの理解に
一部参加者にずれが見られたので、最初の1時間ほどの議論は認識のずれの
解消に費やされた。なお、この経緯およびプロセスは前回会議時にも
説明したが、以下の通りである(会議時には経緯の詳細の説明は省略)。
経緯
1999年1月 ホイットニーがIVSのTechnology Coordinator(技術開発コーディネータ)に選出される。
1.25 国際ワークショップGEMSTONE時(小金井:1999.1.25-1.28)にホイットニーがVLBI標準インターフェース(VSI)案のドラフト提示
2.5 ホイットニーからVSI案の改訂版(メール添付文書)が関係者に送付されてきた。(送付先、日本、JIVE、NRAO、GVWG(Global VLBI Working Group) 、IVS評議員)
2.11 国際VLBI事業(IVS)評議会(ドイツ)で、ホイットニーがVSIに関して提案。VSIを早期に固めて、IVS評議会から保証をもらいたい。
--->IVSとして基本的に賛成。次回の評議会で検討。
ホイットニーは技術開発コーディネータとしてVSIを推進。
3.1 IVS正式発足。通総研TDC会議開催。川口さんにホイットニーの意向を伝える。
--->川口意見。VSIは非常に重要なので、あせって決めるべきではない。じっくり検討が必要。(とりあえず3月一杯を期限に!)
3.12 ホイットニーのVSI案に対するカナダグループの検討案(コメント)がメールにて送られてくる
3.23 ホイットニーから、VSIに関して専門の検討グループを作りたい、とのメールが届く。 3.25 ホイットニーからVSI検討グループメンバー案が届く。 日本からは近藤および川口さんがメンバーになっている。メンバーは以下の通り
Alan Whitney, MIT Haystack Observatory, USA (IVS Tech Coord, GVWG Tech Coord Group co-chair), Wayne Cannon, York University, Canada (IVS Tech Representative, GVWG Tech Coord Group co-chair), Tetsuro Kondo, CRL, Japan (IVS Tech Representative), Brent Carlson, DRAO, Canada, Dick Ferris, ATNF, Australia, Dave Graham, MPI, Germany, Nori Kawaguchi, NAO, Japan, Sergei Pogrebenko, JIVE, The Netherlands, Jon Romney, NRAO, USA, Ralph Spencer, Jodrell Bank, England)
VSIの制定が7月のIUGG評議会までに間に合わないときには8月のURSI(カナダ)で相談をしたいとのメール
4.6 VSIに関するCRL内打ち合わせ実施。
4.7 ホイットニーがVSI検討グループメンバー宛、検討グループ発足の正式なメールを出す。
5.14 VSIに関する打ち合わせ(CRL、国立天文台、宇宙研)実施。
7月19日のIVS評議会(英国バーミンガム)でVSIが認知されるには、
評議会において、技術開発コーディネータであるホイットニーが
VSI制定検討グループの検討結果としてのVSIを提案し、評議会が
認知(お墨付きを与える)するという形になる(と思われる)。
その場でVSIに関する技術的議論はなされない(と思われる)。
したがって、
日本としてVSIが重要であると認識し、
さらにホイットニー案に対する日本案(含むコメント)があれば
早期にIVS技術開発コーディネータの
ホイットニーに提案し、
VSI制定検討グループでの議論にのせる必要がある。
日本としての統一案を提案しよう!ということでは、前回の会議で合意が得られた。
さらに7月19日に開催されるIVS評議会でVSIが認知されることを
目指そう、
ということになった。
ここで、「7月のIVS評議会に日本案を示し、そこでVSIの議論を行う」
という誤解 が一部参加者にあったが、
そうではなく、「7月のIVS評議会ではホイットニーがVSI検討グループで
検討した結果を示し、それをIVSとして認知する」 のであり、
VSI検討グループでは、それまでに日本案も含めて検討を
行うのである。したがって、7月のIVS評議会の時点で、統一案にいたっていない場合は、
ホイットニーがVSIを具体的に提案することはなく、
したがってIVSとしての認知もなくなり、先送りとなる。
7月までに日本案を示すのは非常に難しいとの、意見もあったが、
ともかく「たたき台」を作らなくては先へ進めない、という点では
会議参加者の合意が得られ、具体的議論に入った。
なお、議論の参加者の範囲については、「たたき台」作りの
段階は現参加者の範囲で進めて、「たたき台」ができあがった後の
議論は、広く公開(周知)して進める(ホイットニーに対しても検討
グループのメンバー以外のIVS技術開発センターからの意見も聞くように
進言する)ことで了解が得られた。
以下、議論の技術的検討の要点を示す(大体議論の時間順だが順不同)。
Whitney案ではDIB,DOBは別の箱であるが、日本は今までのレコーダ開発の経緯からも
両者は一体化されており、DIOと呼ぶべきもののみである。
間に来るのはレコーダだけではなく、ファイバー等の伝送路も考えると、DIB,DOBで良いのでは。
1つの箱にしても、そこにDIBとDOBのコネクターがついていれば、同じではないか。
DOBが不要な所もあるので、DIOは余分(高価になる)
−−>DIB、DOBという認識でドラフトを作成するが、DIOとしたときの利点はコメントしておく。
メディア変換について
データのピンアサインは規定しない(できない)。必要ならば接続切り替えスイッチを用意し、ログに基づき切り替える。
コネクター・ケーブルについて
64MHzの長距離伝送は正しくシールド処理したケーブル以外は困難。
1024Mbpsの実現は32MHzクロック×32で。
D-SUB50ピンをコネクターとして推奨。ピン配置はドラフトでは示さない(付録としてつける)
DOBにはBNCの1PPS出力を設ける。ただし、モニター用途に限定する。
制御系について
インターフェースは統一されたものを少なくとも1つ持つ。ドラフトの段階では
Ethernet,RS-232C,IEEE-488,USBなどを例としてあげて、規定はしない。
制御コマンドも観測、相関処理に必要な最小限の共通コマンドをVSIで規定する。
単純な再生と、同期再生の区別が必要
フッテージカウンターに相当するデータの扱い(異機種間の共通化をどうする)
制御メッセージはASCIIコード。
VEXファイルについて
導入例について
図に時刻信号線も追加する。
・・・Boxという表現はVSI Output I/F, VSI Input I/F に変更。
相関処理時の接続例に制御計算機、VEXファイルの絵を追加。
時刻符号について
日本案として時刻符号はちゃんと定義し、強く主張する。
時刻符号としてはIRIG−Bとする
IRIG−Bは年が規定されないが、不都合はないか?
実際上は問題ないのではないか。必要なら上位レベル(ログファイル、
テープID)で知ることができる。
天文グループからは大きな反対がでる可能性がある
年がなくても大丈夫な根拠を説明できるようにしておく必要あり
テープ上に実際に残す時刻情報の形式は規定しない。データリプレース
方式(Mark-III,K-3,4)も許容する。データインサート方式(VLBA)も許容。別トラック方式もOK。
今後、以下のスケジュールで作業を進めることになった。
6月11日までに現川口案に時刻符号の記述、計算機制御の記述を追加したドラフト(0次案)を
作成する(担当者:川口)
6月14日までに0次案にAppenndix等を加えたVSI日本案を作成する(担当者:近藤)
それまでに、日本のVLBIコミュニティに、VSI作業経過報告の周知を行う
(担当者:近藤)
VSI日本案をホイットニーに提示(担当者:近藤)
なお、VSI日本案を提示後の議論は、電子メールで行うこととし、
7月19日に予定されているIVS評議会の様子の報告会を
7月28日(水)午後1時半から鹿島で行うことに決めた。
作成者:近藤哲朗
1999年6月3日作成