時代の変遷とともに、ICTは著しく進化してきました。それに伴って、日本マイクロソフトのアクセシビリティの在り方はどのように変化してきましたか?
大島:当初、やはり障碍者の方が使えるかどうかに重きを置いていました。まずは、障碍の有無に関わらず、インターネット上の情報にアクセスしやすくすること、製品を使いやすくすることを目標にしていたんです。ところが、特にAIというテクノロジーが一般化してきてからは、その目標に変化が見られます。
と言いますのも、ただ単に「使えること」、「アクセスできること」というだけでなく、さらに「スムーズに情報を得られること」や「これまでできなかったことも可能にすること」が重要になってきました。たとえば、視覚に障碍のある人に向けて提供された iPhone の無料アプリを起動して、カメラで周辺を映すと、周囲の状況をAIが解析して音声で読み上げる「Seeing AI」は、これまで存在を意識していなかった物の存在を意識するきっかけになったり、これまで把握できなかった物を“見る”ことができるようになったりと、AIによってこれまでの生活が大きく変容しています。
「Seeing AI」でできること(画像:AppStoreより引用)
また、最近はリモートワークの増加によって、Web会議システムなどのアクセシビリティも進んだと感じています。コラボレーションツールのMicrosoft Teamsに関して言えば、全盲や全ろうの方にも使えるような機能をすでに実装しており、マイクロソフトのホームページで使い方マニュアルや操作手順の動画を公開しています。いまではWindows、PowerPoint やExcelなどのOffice アプリ、そしてMicrosoft Teamsに関するものも増えており、障碍のある方の就業機会の拡大につながることを期待しています。