最初にウェブアクセシビリティ品質にこだわるようになった背景について教えてください。
中村精親さん(以下、中村):当社は、国際的な組織によって策定されるWebに関する指針である「Web標準」の推進に取り組んできました。「Web標準」には、HTMLやCSSなどウェブサイトの制作・開発時に必要な様々な仕様が含まれます。 「Web標準」に続いて、Webコンテンツの品質にアクセシビリティが必要不可欠だと考えました。Webコンテンツのアクセシビリティに関して世界的な基準となっている「WCAG」というガイドラインがあります。当社は、「このガイドラインの仕様をきちんと守ってウェブサイトを制作していく」ことを強く誓いました。
「WCAG」の中でも一番基本の「レベルA」を満たして制作することを当社では「標準対応」と呼び 、原則、最低限必ずやるべき「レベルA」を守って制作します、ということを打ち出しています。こうした取り組みが、アクセシビリティ品質の高いサイトの制作につながっているのだと思います。
御社が提供しているウェブアクセシビリティサービスの概要について教えていただけますか。
中村:当社には、私を含めてアクセシビリティの専門家が複数在籍しており、ウェブアクセシビリティに関わるサービスを主に2つに分類して提供しています。
1つは、画像の代替テキストやソースコードなどのアクセシビリティ品質を検証するサービスです。様々な環境であっても同じように見たり聞いたりできるようにするには、見た目の作りとその裏側の作りが正しく整合していることが非常に大事です。その点を確認して「ここがおかしいですよ」というレポートを出していきます。
そしてもう1つは、ウェブアクセシビリティのルールを守った形でサイトを制作するサービスです。制作部門とアクセシビリティの専門家が連携し、問題が起きないように中身をチェックしながらサイトを制作しています。アクセシビリティのガイドラインに準拠したウェブコンテンツの構築から運用に至るまで対応しています。
アメリカの大学でコンピュータサイエンスについて学び、2006年にアクセシビリティ担当として入社した中村さん