――障害をもつ前は、どのような生活だったのでしょうか。また、どのような趣味や夢、生きがいなどを持っていたのでしょうか?
佐々木:以前は、肉屋さんをしていました。その当時は写真が趣味で、日光や箱根にはオートバイで撮影に行ったものです。ラジオやステレオも自分で組み上げたりと、全体的に機械類が好きでしたね。肉屋さんの支店を出したいと思っていました。
――そんな佐々木さんが、「障害者」になったわけですが…。
佐々木:プールに飛び込んで首の骨を折り、頚椎損傷で肩から下が動かなくなりました。腕は動くのですが、指は動きません。
――その障害は、趣味や夢、生きがいや生活にどういった影響を及ぼしましたか?
佐々木:仕事が丸っきりできなくなったことで夢も希望も何をする気もなくなり、写真も含めて全て諦め13年間自宅に閉じこもっていましたが、20年前に現在の施設に入所しました。
――パソコンを使いたいと思った気持ちの中には、パソコンによる何らかの展開を期待して…があったのでしょうか?
佐々木:そんな大げさなことではなく、オモチャの延長のように考えていましたが、そういえば、その前にワープロを使っていましたね。自分で字が書けなくなったものだから、ワープロは結構便利に使っていました。パソコンでワープロやお絵描きができると知ったことも、パソコンを使ってみたくなった理由です。
――色々なホームページを見ることができるようになったわけですが、普段どのようなウェブサイトを利用していますか?
佐々木:昔、株をかじったので、経済ニュースとか証券会社のホームページを見ています。株はバーチャルでやっているだけですが、1年間成績が良ければ賞金がもらえるので楽しみにしています。いや、去年はダメダメでした。新規巻き直しです。
それから、機械が好きでしたので、電気製品のホームページをよく見ています。山の風景や富士山の雲の写真を見ますね。
――パソコンが使えるようになったことで、また、ウェブを利用できるようになったことで、趣味や夢、生きがいや生活が変わりましたか?
佐々木:ワープロはどんどん使っています。パソコンで絵を描くのにも凝りました。住民票の取り寄せが市役所に行かなくてもホームページでできるようになりましたし、銀行とのやり取りもホームページでやっています。
一番便利に使っているのはメールです。写真がメールで送れるので、やり取りする相手がずいぶん増えました。何か行事があったときには、写真もパソコンでプリントできます。
自動車でも電気製品でも新製品が出たときにはパッと見られるし、新聞より早くF1やスポーツの成績も見られます。新聞社のホームページには詳しく書いてありませんが、リンクをたどっていくと、けっこう詳しいことが分かります。調べものには便利ですね。
――ということは、ホームページを見ることができるようになる前はどうだったのでしょうか?
佐々木:施設に本屋さんが出入りしていたときには、発行日から何日か遅れますが週刊誌で読んでいました。新製品については新聞の広告だけでした。住民票が必要なときには、身内に取ってもらったものを送ってもらいました。銀行は職員さんにお願いしていました。
――パソコンを使い出したことで、ウェブを利用し出したことで、予想外だったことはありましたか?
佐々木:色々な写真が簡単に見られたのは予想外でした。市役所の手続きや銀行のこととか、ホームページで調べたりホームページから聞けるようになるとは思ってもみませんでした。
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原本作成日: 2007年6月8日; 更新日: 2019年8月19日;