グリズデイルさんは、お仕事でICTを活用されています。情報バリアフリーに対しての思いをお聞かせいただけますか。
グリズデイル・バリージョシュアさん(以下、グリズデイル):私にとって情報は「命」と同じくらい重いものですから、情報バリアフリーは「命を守ること」に他なりません。インターネットがここまで発達していなければ、私はいまのように日本で仕事をすることができなかったと思います。また、私には電動車いすを使わないと自由に移動ができない、というハンデがあります。それを補ってくれるのが、インターネット上の情報です。たとえば、遠方に出掛けるときには、車いす対応をしているレンタカーを借りられるか、バリアフリー対応をしている宿泊施設かどうか、などを必ず調べます。情報が乏しいままでは、大きな不安を抱えたまま現地に向かうことになります。一方、知りたい情報を確実に手に入れられたら、大きな安心感を得られます。
知りたい情報を得るにあたり、労力がかかると感じることはありますか?
グリズデイル:もしかしたら健常者の倍くらいの労力は必要かもしれませんね。それは、PCやスマートフォンなどのデバイスの使い勝手の問題というよりも、アクセス先の情報の扱い方の問題だと思います。最近は、視覚障害や身体障害など様々な障害を持つ人向けに、入力などの補助ツールはかなり充実してきました。逆にアクセスした先のサイトに、知りたい情報がなかったり、情報が整理されていなかったりするケースが多いように思います。私が特に課題を感じるのは、やはり場所に関する情報の乏しさです。その場に行くにあたり、身体障害者にとって知りたい情報がホームページにまとまっていないことは少なくありません。ほとんどの場合は、最終的に電話して確認をしていますので、そのあたりに労力を感じますね。
旅行で日本を訪れたときに「ここで暮らしたい」と心に決めたと話すグリズデイルさん