映像や音楽についてはデジタル化が進んでいますが、嗅覚に関してはデジタル情報化が遅れています。
匂いには、花の匂いから木の匂いなどさまざまなものがありますが、光の三原色のように基本になるものはありません。当社では天然の香りを抽出して利用していますが、組み合わせれば匂いは何十万種類でも作れます。そこで、匂いの元素と組み合わせを決め、約128種類で匂いのパレットを作り、PCデジタルデータと合わせて匂いのオリジナルレシピ表を作りました。これを世界標準にしようと考えています。
匂いのデータを音と同じようなデジタルデータソースにすれば、映像や音のように伝えることができるようになります。たとえば、レモンなどのように誰にでもわかりやすい匂いだけでなく、「愛する」など抽象的な言葉の匂いのレシピを作っておいたとします。「愛する」という言葉を選択すると、そのレシピが出てきて自動的に、「この匂いと、あの匂いを3対2」などという指示に応じて混ぜて匂いを作りだします。このようにレシピを送ることによって、匂いが再生できるのです。テレビやパソコンの画面の中から匂いが出てくることが実現する日も近くなってきています。これが匂いの伝送技術です。この技術が確立されれば、たとえばがんの匂いの情報も伝送することが可能になります。
当社では、今後も医療の分野での匂いの伝送の研究開発を続けていきます。
※写真3 株式会社シームス 田島幸信さん
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原本作成日: 2009年6月8日; 更新日: 2019年8月20日;