2002年ごろのことです。旅行会社に勤務して、高齢者向けや介護付きのツアーの担当になったのですが、旅行の企画を立てるためには、まず旅先のトイレの状況を確認することが必要だと知りました。当時は現在のような多機能トイレではなく、車いすトイレでした。自治体や観光協会、社会福祉協議会、障害者団体などに問い合わせると、地図や冊子を作成しているところもありましたが、紙の地図では、情報の更新がされていないことが多く、情報が不足していました。そのため旅先で立ち寄る候補の施設や店に1件ずつ電話をかけ、車いす用のトイレはあるかなどトイレの設備について聞き、写真を送ってもらうこともありました。
高齢者や障害者のなかには、トイレのことが不安で外出を控える方がいらっしゃいます。外出先の多機能トイレの状況が事前に分かれば、外出の不安を解消することができ、もっと積極的に外出し、社会参加ができるようになります。そこで多機能トイレのデータベースをWEBで地図に組み入れた情報を公開し、共有できるシステムづくりをしようと考えました。旅行会社を辞め、ITを学ぶためにシステム開発会社に転職し、その後は夜間働きながら、昼間は地図サイトの立ち上げのために奔走しました。
2007年6月に「Check A Toilet」のサイトを立ち上げました。地図会社のマピオンも応援してくれることになり、まもなく2008年1月にNPO法人Checkとして認可されました。「気兼ねなく外出できる環境作り」が私たちの活動のテーマです。
多機能トイレマップを立ち上げるにあたり、さまざまなところで持っているバリアフリー情報を利用することを考えました。地域が持つトイレの情報をどんどん登録してもらおうと考え、全国の自治体約3000か所にメールを送り、電話をして連絡を取り、トイレについての情報提供を呼びかけ、企業にもアプローチしました。
具体的にどのような情報を載せるかは、地域の団体の方たちにヒアリングしました。都内の障害者団体を通じて、多機能トイレの利用者にアンケートを取ったところ、右半身マヒ、左半身マヒによって必要な手すりの位置がちがうこと、電動車いすの場合は広いスペースが必要であることなど、予想していたよりもはるかに細かな情報が必要でした。そのため細かなチェック項目を用意したトイレマップチェックシートを作成しました。
チェックする項目は、扉(スライド式・電動式・アコーディオンカーテン・車いす移動不可)、介助者スペース、手すりの種類(L字型・可動式)、便座へのアプローチ、オストメイトの設備、点字案内、ベビーシート、介助シートなど多岐にわたります。
パソコンのCheck A Toiletの画面
Check A Toiletのパソコンからの検索方法は、「トイレを検索する」画面から行います。
(1)画面にある地図上の検索したい地域に合わせて、「表示範囲での検索」のキーをクリックするか、「フリーワード検索」の枠に検索したい住所、駅、施設名、郵便番号などを入力し、「フリーワード検索」ボタンをクリックします。
(2) 地図の中に対象となるトイレの位置が赤や緑のピンで表示されます。ピンをさらにクリックすると、多機能トイレの詳細を見ることができます。