家電製品に使う文字は、横書きが基本です。製品本体のボタンやスイッチに印刷するので、10文字以下で読みやすくして、文字を識別しやすいようにということをまず考えて作りました。それまで使われていた文字フォントのデザインと極端に違うデザインは違和感を与えるので、それまでの書体に近いもので、より見やすいものを追求しました。
  
   基本的には、画線などをシンプルにし、文字の空きを大きくするなど、デザイン上の工夫をし、見えやすくしたのが「イワタUDフォント」の特徴です。開発にあたり、下記の4つの要素を考慮して進めました。
  
   視認性…文字ひとつひとつの構成要素が見やすい
  
   誤読性…誤読しにくく、他の文字と判別しやすい
  
   デザイン性…シンプル、美しい、整理されている、整合性をもつ
  
   可読性…単語・文章にしたときに読みやすい
  
下記に「イワタUDフォント」のデザインのポイントを紹介します。

| 上段左 左から2番目 中央 右から2番目 右 中段左 中段右 下段 | ふところを広くした例 画線をシンプルにした例 飛び出しをなくして、大きさを最適化した例 濁点部分のギャップを十分に確保した例 数字などのアキを確保した例 9や6など点対称文字を差別化した例 文字をシンプルにした例 独立したシルエットで判別しやすくした例 | 

縦横を変形した場合でも、読みにくくならように工夫した例

和欧文が自然に並ぶように文字の高さを考えて揃えた例
  
  (上が従来のゴシック体。下が「イワタUDゴシック」)
  
   「イワタUDフォント」は、「2009年度グッドデザインライフスケープデザイン賞」(経済産業大臣賞)を受賞しました。
  
   「イワタUDフォント」はまずゴシック体を開発しましたが、要望に合わせて、太さを変えたり、丸みをつけたフォントも開発しました。その後カタログなどでは、ゴシック体だけでは単調になるというデザイナーからの要望で、明朝体も作りました。新聞用の書体など少しずつ種類を増やしています。
  
   約款や申込書、数表、帳票など、特に小さい文字で使われる書体の要望があり、一般社団法人ユニバーサル コミュニケーション デザイン協会と電通、イワタで、「みんなの文字」を共同開発しました。このフォントは、特に重要視される数字が強調してデザインされており、文字間隔も広めにとってあるのが特徴です。