開発前に、視覚障害者の方たちにさまざまな要望を伺い、フルセグ方式とワンセグ方式のどちらに対応するものを製作するかを比較検討しました。
視覚障害者の方たちには、番組の解説放送を楽しみにしている方が多くいます。ところが、フルセグ方式では解説放送がついている番組でも、ワンセグ方式では対応していないものがあることがわかりました。また、フルセグ方式には、限定受信のためのICカード(B-CASカード)が必要なのに対し、ワンセグ方式は不要です。それぞれに長所と短所があり、すぐにいずれの方式を採用するかを決めることができないため、両方式の試作を行い、評価することにしました。
そこでまず、フルセグモデルの試作から始めました。フルセグモデルは家庭で利用することを想定して100ボルトの電源を前提にしているため、消費電力が多くなり、アルカリ単三電池4本の連続使用時間が3時間でした。小型化も困難でした。試作品の評価としては、音はよいが、もっとコンパクトで持ち運びやすいものにしてほしいという要望をいただきました。
次に、ワンセグモデルの試作を始めました。フルセグモデルと比較して、広いエリアで受信でき、また低消費電力で使用できます。フルセグ方式で放送している解説放送は、ワンセグ放送では聞けないものもありますが、これは、テレビ局での拡充を期待するしかありません。
さまざまな評価を踏まえて、さらに改良を重ね、最終的には横型で従来のラジオに近いワンセグモデルのワンセグ・オーディオ・レシーバー NIC100/NIC80を製品化しました。
ワンセグ・オーディオ・レシーバーの試作機種と完成品
試作した機種(上段左はフルセグモデル、上段左から2番目〜4番目と下段左がワンセグモデル)と
完成品(NIC80(下段中央:ワンセグ受信専用)、NIC100(下段右:ワンセグとA,M/FM受信))