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現在位置: トップページ > トピック記事 > 高齢者・障害者支援サービス・取組 > 難病者や重度障害者のコミュニケーションを支援するICT救助隊(2/5)

人工聴覚医療情報の発信と磁気ループ補聴システムの導入(2/5)

2 人工内耳装用者からの情報発信

 私は現在人工内耳を付けています。以前は補聴器を付けていましたが、全く音が聴こえなくなり、3年間音のない生活をしました。なんとか音が聴こえるようになりたいと情報を探していたときに、インターネットで人工内耳のことを知りました。今から12、3年前のことです。当時は人工内耳の情報が少なく、また対応している耳鼻科医もなかなか見つかりませんでした。やっと探し当てて手術をお願いしたのは、日本で初めて人工内耳の手術をした東京医科大学病院でした。現在は、東京医科大学病院 聴覚・人工内耳センターとなっています。

 人工内耳は、装用を希望しても、失聴していた期間、難聴の程度、内耳の状態、その他医療的な禁忌がないかどうかなど、条件に合った場合にのみ利用できます。そのため、希望しても付けられない方もいます。

 子どものころから聴こえに障害がある場合は、大人になってから人工内耳を付けて音声が聞こえるようになっても、耳から入ってきた音声を言語として理解することが難しいそうです。言葉を発するのは脳の言語野に関わるからです。聴こえの障害を持って生まれてきたお子さんの場合は、早く見つけて、正確な診断を受け、対処することによって、子どもの人生が大きく変わると思います。

 私の場合、幸い諸条件が合って、人工内耳手術を受けることができ、音の世界を取り戻しました。人工内耳は日本製の機器はなく、現在日本で認可されているのは、全て外国製です。私はオーストラリア製の人工内耳を付けています。

 人工内耳は取り付けただけで、聴こえの機能が回復するわけではありません。聴こえの機能を取り戻すために訓練を続けることが必要になります。私もリハビリを続けて、聴力の回復を目指しました。失聴したことで仕事を失いましたが、人工内耳を付けたことによって、新たな仕事に就くことができました。人工内耳の効果は個人差があると言われますが、リハビリをすれば効果が上がることを実感できます。

 補聴器の効果がなくなったら、音のない世界を生きなければならないのかと思っていましたが、その一歩先がありました。それが人工内耳だったのです。人工内耳によって聴力を回復した自らの体験から、聴力の大切さや人工聴覚について世の中に広く伝えたいと考えて、2002年に人工内耳装用者を対象にした「リハビリサークル」を設立しました。2009年に特定非営利活動法人人工聴覚情報学会として内閣府の認定を受けました。

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