指伝話の機能はおもに、「代わりに話す」というものと「読み上げる」という2つです。あらかじめ必要な文言を登録しておき、必要な時に画面のその言葉を指で選択するだけで代わりに話してくれます。14のグループに分類して、1グループにつき100の言葉を登録できます。ひとつの言葉として登録できる文章の文字数は、3万文字までと多いので、長文の登録もできます。会議やスピーチなど長時間話さなければならない場合にも利用できます。
普段は普通に話をすることができても、緊張からうまく話せなくなったりすることもあります。住所や治療中の病気のことなども登録しておけば、緊急の時など安心です。また、風邪をひいて声が出しにくい時や元気がなくて何だか話したくないなっていう時にも使うことができるなど、様々な状況で役に立ちます。
指伝話の音声機能は、Hoyaの「ボイステキストエンジン」というサービスを基礎技術として活用しています。たとえば、「箸の端を持って橋の端を走った」といったような文章でもしっかりイントネーションを使い分けられますし、発声の幅が広いのが特徴です。発話のスピードや声の高低なども設定できますし滑舌も良いなど、人間の発話に近い音声なので聞き取りやすいです。音声は男女それぞれ2種類(英語の場合は男女1種類ずつ)あります。
声色を自分好みの声に合わせて使ってもらうこともできます。ある筋肉性の疾患で声を出すことができない男の子は、デフォルトの声から、より男らしい声に変えて使用していました。声を失った人でも、自身のアイデンティティとして、声色をイメージしていたのです。まだまだ十分ではないと思いますが、そのように自分でカスタマイズして利用することができます。
声を失った方や聴覚障がい者の方々は、これまで筆談でコミュニケーションを図ってきました。あらかじめ声を言葉にして書いておき、必要に応じて発声できる指伝話の機能は、筆談に比べるとはるかに便利で、健聴者とのコミュニケーションもスムーズになります。
指伝話の画面(登録されている言葉の紹介と編集機能の紹介)
指伝話の画面(分類するグループの紹介。早口言葉のように音が似ているものも正確に認識できる)