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重度身体障がい者の支援用アプリケーション「OAK」(5/5)

5 今後の課題・目標

 今後の目標は、もっともっと多くの人に使っていただくことです。障がい者向けの機器の市場は、だれもが使うものに比べ、市場が小さいため大量生産が難しく、どんな機器も単価が上がってしまう傾向にあります。その上、使う人の障がいの内容や程度に応じてカスタマイズが必要なので、さらに費用が上がってしまいます。この課題を克服するためにはやはりたくさんの人に使っていただくこと、加えて、すでにたくさんの人が使っている技術をどんどん応用していくことだと思います。

 例えば、VOCA(会話補助装置)の代表的なツール「トーキングエイド」という商品は、50音に並んだキーボードをひとつずつ押して、ディスプレイに言葉を入力していく道具なのですが、20年以上前の発売当初、10万円以上していました。この金額ではなかなか気軽に使っていただくというわけにはいきませんでした。それが数年前、iPad用のアプリケーションとして発売され、6900円になりました。iPadなど、障がいの有無に関係なくだれでも使う大量生産されているものを活用することで、驚くほど安価にほぼ同様のサービスが提供できる時代になってきました。

 今回OAKを開発した、東京大学先端科学技術研究センターでは、多くの人が使う道具で大量生産されているものや、完成されたすでにある技術を最大限活用するということを「あるテク」と呼んで、さまざまな実践研究をされています。Kinectは、もともとゲーム機用に作られ大量生産されているカメラです。これほど高性能のカメラが2万円から2万5千円くらいで購入できます。OAKのアプリケーションは8,000円で提供しています。従来の福祉機器の価格から考えたら、たいへん安価です。そしてもちろん性能も高く、安定した技術を提供しています。

 OAKの英語版のリリースが決定し、2014年1月末にThe Assistive Technology Industry Association (ATIA)主催の展示会に出展する事になりました。OAKのような重度障がい者専用のツールは本当に国内だけで考えますと市場は狭まりますが、全世界の人に知って使っていただくことで、さらに価格や技術面で使いやすいものが提供できるようになればと思っています。

取材日:
2014年1月
取材協力:
株式会社アシスト・アイ

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