点字ディスプレイとは、点字を出力するための機器です。当社で製造している「ブレイルメモスマート16」は、点字出力と音声出力の機能をベースに、点字入力も可能にした多機能型点字ディスプレイです。
視覚障がい者を支援するソフトウェアとして、スクリーンリーダーと呼ばれる活字の音声読み上げ機能があります。コンピューターの画面に表示された活字の情報を音声で読み上げるシステムで、これによってコンピューターの操作を行ったり、情報を聞き取りしたりするものです。
点字ディスプレイは、パソコンにつなげることで、スクリーンリーダーの情報を取り込んで、点字として表示するしくみです。「ブレイルメモスマート16」でいえば、機器の手前側にある16マスの点字表示がそれにあたります。
点字を日常的に使っている人が使用する点字用紙は、横が32マス、縦が16マスで出来ていて、日本ではこの書式がポピュラーな形式です。「ブレイルメモスマート16」は、持ち歩きしやすいようにコンパクトな形状にしてありますが、横16マス表示にすることで、点字用紙に近い形で表示できるようになっています。スクリーンリーダーから取り込んだデータを、点字で表示し、音声で出力することで視覚障がい者の方が情報を取得できる機器です。
機器の上部に配列されたボタンのうち、中央上部の6つが、6点キーという点字キーボードです。点字タイプライターと同じ配列になっています。点字使用者の多くがこの配列で点字を学習しています。6個のボタンが点字の各点に対応していて、左から3の点、2の点、1の点、4の点、5の点、6の点というように並んでいて、点字の入力を行うことが出来ます。これで、点字を使った読み書きができるようになるわけです。
「ブレイルメモスマート16」には、点字データで文章を作る点字作成エディターに加えて、点字入力でテキストデータを作成できるテキストエディターも備わっています。パソコンと連動して、キーボードの代わりに6点キーで入力することで、例えば電子メールを送ったりすることが出来ます。
この機能を使うとメモがとれるので、例えばカラオケの歌詞を覚えるのに使っている方もいますね。点字で書かれている分厚い歌詞本もありますが、「ブレイルメモスマート16」にメモとして入れておけば、持ち運びは容易になります。
視覚障がい者の方が、晴眼者に混じって、スピーチする際に使われることもあると聞いています。よく原稿を持ってスピーチする場面がありますが、それと同じように「ブレイルメモスマート16」を首にかけて、原稿をなぞりながらスピーチするといった具合です。盲学校の先生が、あらかじめレジュメを入れておいて、それを授業に活用するといったケースもあります。
「ブレイルメモスマート16」の外観。機器の上部のボタンが点字キーボードで、入力時に使う。手前が横16マスの配置の点字表示部分で、読み取り時に使う。
点字表示部分の拡大写真