続いて、ICTがどのように役立っているのか、近藤さんに解説していただいた。
「RoBoHoN」で写真を撮ってデータをクラウドにアップし、先生と共有できる仕組みにしています。また「kubi」でもクラウドを使い、インターネット経由で先生と通信しています。ただ、RoBoHoNの場合は、ご自宅の写真などを撮ってしまうこともあるので、すべてのデータをネットに上げるのではなく、パーソナルヘルスレコード(以下、PHR)をセキュリティに考考慮したシステムで医師にデータの管理をしてもらうようにしています。これまで病院外でのPHRは、聞き取りくらいしか方法がありませんでしたが、このシステムによって定量データを手に入れることができます。
従来は短い診療時間しかなく、腰痛の方に腰痛体操を正しい姿勢をしっかりと理解してもらうことは、至難の業でした。高平教授も「きちんと継続すれば早く治る」とおっしゃっていましたが、時間がなくてなかなかケアできないのが現実でした。いまはネットを使ったコミュニケーションもスピーディーでかつ容易に利用できるようになりましたので、ストレスないコミュニケーションが可能に。これからの医療は、ロボット×ICTにより、診療の質も向上すると考えています。
また、2016年度のモデルだと、「もっと膝を曲げて」などアドバイスがキツめでした。的確なアドバイスなので仕方ありませんが、できなかった時の励まし要素が少なかったと思います。2016年度は病院の待合室での実験でしたが、今回は在宅ということもあり、無理に体操して転倒することがあってはいけないので、励ましに徹しようと変えました。
これからも、ボキャブラリーやリアクションを増やして、より寄り添うコミュニケーションが可能にしていきたいと思っています。日々の挨拶など、いろいろな形で触れ合うことで、このロボットともっと関わりたいと思うようになると考えています。一方で、体操は日々のトレーニングなので、徐々に体操の中身を難しくしていくことも必要でしょう。効果があるトレーニングにしていくために先生のフィードバックがあってまた成長していく、そんなプロセスを踏んでいきたいと思います。