具体的な製造工程は、メガネのフレーム部分を3Dプリンタで作り、「小型カメラ」「カメラスイッチ」を装着するかたちです。これをケーブルで、コンピュータ「Raspberry Pi」やバッテリーを搭載している本体ユニットにつなぎます。
現状は、試作のつもりで修正を繰り返している段階ですが、「この状態でもいいから使わせてほしい」とおっしゃる方も多く、試験的に売り始めたところです。まだ、決して安価ではありませんが、一つずつ手作りで量産できないことを鑑みて価格を設定しました。ただ、最終的には厚生労働省が定めている「日常生活用具」の適用が認定される製品にしたいと考えています。そうすれば、利用者は1割の負担で購入できます。その申請をするためにも、「OTON GLASS」が役立つことを証明していかないといけません。
現在、「OTON GLASS」は15台製造しています。これについては、定期的な体験会を週1回から2回実施する際に使用したり、眼科クリニックや自治体の資格障害者支援施設に置いてもらったりするために活用しています。こうした取り組みを通して、視覚障害者コミュニティの中で、「『OTON GLASS』というのが開発されているらしい」と広まってきているようです。そのため、まず2018年度には50台から100台をテストマーケティングとして流通させて、当事者に使ってもらうようにしたいと考えています。ただ、数十台をまとめて販売するのは初めてのことなので、まとまった資金が必要になってきたため、クラウドファンディングも行った結果、多額の寄付をいただいております。改良を継続させていきながら、2018年の秋頃には50台を届けられるようにしたいと考えています。
「OTON GLASS」の製品化に向けて、さまざま施設と協力して開発を進めている