様々な場面で活躍の機会がありそうな『しゃべり描き®UI』ですが、今後の展開をお聞きしてもよろしいでしょうか。
現在、各方面と実証実験をさせていただいておりまして、訪日外国人向けに避難訓練の誘導機器としての使用や、特別支援学校で行う交流会のアイテムとしての活用など様々な可能性を期待していただいております。
『しゃべり描き®UI』には多言語翻訳機能もあり、
外国人とのコミュニケーションにも利用できる
中でも特別支援学校での実証実験においては、『しゃべり描き®UI』を使用することによって、障害を持った高校生と一般学校に通う高校生とのコミュニケーションが今までよりも増加したという実績が出ています。一緒に絵を描いたり、写真を撮ってその写真に落書きしたり、みんな楽しそうに『しゃべり描き®UI』で遊んでくれるんです。ただのツールではなく、コミュニケーションを楽しむためのアイテムとして使ってくれているようです。
このように『しゃべり描き®UI』があるからコミュニケーションが変わった、意思疎通のハードルが低くなったと様々なシーンで言っていただけるよう、今後も準備を進めていきたいと思います。
身近で使われるようになるのがとても楽しみです。最後に聴覚障害者のコミュニケーション方法について、平井さんのお考えをお聞かせいただけますか。
『しゃべり描き®UI』の開発のきっかけは耳の不自由なインターン生との出会いでしたが、実は入社した彼女も一緒に『しゃべり描き®UI』を開発したんです。
『しゃべり描き®UI』を社内で初めて発表した時、彼女が「最初はユーザーインターフェースの工夫だけで聴覚障害者のコミュニケーションを変えるなんて、正直無理だと思っていました。でも、完成した『しゃべり描き®UI』は気遣いや感謝など、人の心を感じさせてくれる、私の想像以上のツールになりました」と言ってくれたんです。思いを伝え、心が繋がるという本来の意味でのコミュニケーションを一つの形にデザイン出来たのだと実感し、とても嬉しく思いました。
世の中には優れた技術がたくさんあります。その優れた技術を、様々な人が心と心を通じ合わせる喜びを感じられるモノにデザインしていくことが、デザイナーとしての私の1つの目標です。
ありがとうございました。
「心と心が通じ合う優しい世界をデザインを通して実現していきたいです」と
笑顔で語る平井さん