身体を動かすことが難しい利用者もいらっしゃるそうですが、ゲームの操作はどのように行っているのでしょう?
中村:利用者さまのうち、お一人は指先を器用に動かすことができるので、マウスと左手用ゲーミングキーボードを使ってプレイしています。
別のある利用者さまは指先を動かすのが難しい状態ですが、手首から先を動かすことでスムーズにプレイされていますよ。四肢を動かすのが難しい人のゲーム操作をサポートするデバイスやアプリを積極的に活用しています。
マイクロソフト社の『Xbox Adaptive Controller』
どんなデバイスやアプリですか?
中村:メインのツールは、マイクロソフト社の『Xbox Adaptive Controller』という、障害のあるユーザー向けに作られたコントローラーです。単体でコントローラーとして使えるだけでなく、外付けのボタンやフットペダルとも接続できるので、ユーザーの障害の程度やゲームソフトに応じたプレイ環境を作ることができるんです。
ディスプレイに取り付けている、トビー社の視線計測器も欠かせません。「見るマウス」というアプリと併用することで、視線移動でマウスポインターやゲームキャラクターを移動させたり、視線を一定時間同じ場所に留めればクリックもできます。少し練習すれば、すぐに思い通りにプレイできますよ。ツイッターでもプレイ動画をアップしているのでよかったらご覧になってください。
障害のある方が不自由なくゲームを楽しむ環境が整えられているんですね。
中村:障害者支援機器を開発・販売しているテクノツール社さんがiba-shoにたびたび来てくださって、便利な道具を紹介したり貸してくださったりして、幅広くご協力いただいています。
「見るマウス」の開発者の方も、私たちの問い合わせをきっかけに、元々はなかった機能を新機能としてわざわざ追加してくださったんです!
さまざまな方のご支援があったからこそ、利用者さまがゲームをプレイするのに必要な環境を整えられました。本当に感謝しています。
利用者が活用している左手用ゲーミングキーボード
デバイスの面で課題を挙げるとすれば、日本メーカーの製品が一般に海外メーカーに比べて高額なことです。実際、以前に頬にスティックを当てるコントローラーを購入したときは海外メーカーの製品を選びました。国内メーカー製品は価格が数倍以上になってしまうので。
今後は、障害者のゲーム文化が普及するのに並行して、国内メーカーの製品価格も海外と同じ水準になってほしいと期待しています。