今後のご活動予定や、お考えを教えてください。
現在の『MDSiサポート』は任意団体ですが、将来的には法人格を取ってより多くの方を支援できるように活動の範囲を広げていこうと考えています。また、私自身は、医療現場での視覚障害者サポートを始めたいと思っています。
医療現場でのサポートとは、どういった支援の形なのでしょうか。
視覚障害を宣告された方が精神的に立ち直るのに、一般的には2年が必要だと言われています。病室を出てから約2年も、真っ暗な世界で右も左もわからず怯えて過ごしているということです。最近は視覚障害者のためのイベントが開催されることも増えていますが、実はイベントに来られる方は来ている時点でアンテナを立てている人なんです。 本当に私のような存在を必要としている人は、病室を出た後どうすればいいか判らず家にこもってしまい、長期間苦しんでいます。
そこでアプローチしたいと考えたのが医療現場です。退院前に、今後必要になる支援制度や日常生活に役立つ情報を提供するサポーターが入るだけで、彼らのその後の生きやすさは大きく変わると信じています。
世間には視覚障害者にとって有益なツールや制度が沢山あるのに、それを知らないまま苦しんでいる人を少しでも減らしたい。通常の病院や施設が提供する場合と異なり、視覚障害者としての当事者目線で、実態に即して判断した情報や経験を持っていることが私の強みです。当事者からの言葉でれば、精神的に辛い状況にある方でも耳を貸していただきやすいと思うのです。同じ視覚障害者として、医療と福祉の橋渡しの役割を担えればと思っています。
辛いこともたくさん経験しましたが、私は今、幸せです。私の活動が、視力に不安があっても楽しく生きる道が間違いなく存在することを知っていただく、きっかけになれば嬉しいです。
ありがとうございました。
取材時に開催されていた『サイトワールド』(*2)で
展示物を紹介してくださる井上さん
(*2)視覚障害者向けの機器メーカーや支援団体が集まるイベント。
参考:http://www.sight-world.com/
MDSiサポート
(連絡先:代表 井上)
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