日本は世界一の超高齢社会であり、介護の人手不足は深刻ですが、ICTやテクノロジーの活用でそうした課題は解決できると思われますか?
増田:その可能性は十分あると思います。世界中にはいろいろなセンサーがありますし、ICTの技術も年々進化しています。インターネット回線を使った見守りサービスというのは、まだ少ないですが、たとえばクラウドにデータを蓄積して、AIで分析をすることで、介護状態になるリスクを早めに検知して対策を打てるようになったり、未病を早期発見して改善につなげたりと、さまざまな可能性が広がると考えています。それにより重度の介護状態の人を減らすことができるはずです。
そして、とりわけ夜勤のスタッフが足りない、介護の人手不足の解消について、「LASHIC-room」と「LASHIC-sleep」導入と離床予測機能の活用により、夜間の定時見回りを廃止した事業者もいらっしゃいます。夜間1人で20人を見守るというのは、相当大変なことなので、働き方改革として、かなりのインパクトがあると思います。ケアの質を下げずに、業務を効率化するという意味では、今後ICTやテクノロジーの活用は不可欠だと思っています。
また、テクノロジーは介護の質の均一化にもつながります。経験豊富な介護スタッフは、身体の状態を見るだけで、たとえば「そろそろ尿路感染症になりそうだ」と感覚で分かります。このように介護は属人的になってしまうケースが多く、介護者の経験の長さなどで、気づけることに差が出てしまうのが現実です。こうした差をなくすためにも、センサーやデータ解析、ICTといった先端テクノロジーを介護現場で積極的に活用するべきだと考えています。