今後「Ubitone」を通して、どのような課題を解決したいとお考えでしょうか。
山蔦:盲ろう者の皆さんは、自立的に生活されているケースも多いですが、コミュニケーションや情報収集に少なからず困難な問題を抱えています。しかし、「Ubitone」によって、盲ろう者は、家族や近しい人と円滑にコミュニケーションを取れるようになるはずです。
対面コミュニケーションの課題だけではなく、テレビやラジオなどで発せられる情報を受け取りにくいという課題も解決したいと思っています。盲ろう者の中には、コロナ禍で刻々と変化する状況を把握できないまま日々を過ごしていた方もいたそうです。このように目と耳が聞こえないことで生じる情報格差を是正したいです。
他にも、インターフォンの音を検知して「Ubitone」で指点字にして伝える機能や、体温計と「Ubitone」の連携などの開発も進めています。対人コミュニケーションだけではなく、「Ubitone」であらゆる情報コミュニケーションの壁をなくすことが目標です。
個人的なミッションは、創造性とデザイン性を通じて世の中をより良く変えていくことです。障壁は人の側にあるのではなく、環境や社会の側が障壁を作っていると私は考えています。技術やデザインの力を活用して障壁を取り除き、誰もが快適に生活できる社会づくりの一翼を担いたいと考えています。