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聞こえない人と聞こえる人の電話でのコミュニケーションを支援する「電話リレーサービス」

2 東日本大震災で浮き彫りになった電話の重要性

「電話リレーサービス」を開発された背景について教えてください。

石井:一つのきっかけは、東日本大震災です。聴覚障害者の方々は生活の再建に向けて、手続きや問い合わせなど、あらゆる場面で手話通訳によるコミュニケーション支援が必要不可欠でした。しかし、岩手・宮城・福島で聴覚障害者を支援している多くの手話通訳の方々も被災してしまい、手話通訳者が不在になってしまった市町村もありました。そこで、東京や大阪の手話通訳者がテレビ電話を利用して遠隔から手話通訳を行う支援が多数行われていました。

このような緊急事態の対応を経験し、遠隔から手話通訳をする必要性が認識されるようになりました。その後、2013年9月に、「電話リレーサービス」の制度化を目指して、日本財団がモデル事業をスタートしました。

「電話リレーサービス」の制度化に向けてモデル事業をけん引した石井さん

「電話リレーサービス」の制度化に向けてモデル事業をけん引した石井さん

「電話リレーサービス」が制度化されるまでの道のりを教えてください。

石井:当時、「電話リレーサービス」は、欧米諸国ですでに公的なサービスとして提供されていましたが、日本では未実施でした。まず「電話リレーサービス」の必要性を理解してもらうため、国や自治体の職員、電話会社に説明してまわりました。

聴覚障害者の方にも説明をする機会もありましたが、電話を使わない生活をされているため、特に不便を感じていないという声も多くありました。例えば、病院の予約をする際、病院に直接行くことが当たり前、と思い込んでいる方もいらっしゃいました。しかし、「電話リレーサービス」のメリットとして「病院の予約をする際、電話一本で済むようになるんですよ。」と説明すると、喜ばれる方ばかりでした。

8年間実施したモデル事業の利用者は、最終的に約1万3000人に達して、多くの利用者から「電話リレーサービス」の有用性について声が届きました。このようなモデル事業の実施がきっかけとなり、2020年6月5日に「電話リレーサービス」を制度化する新法(聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律)が成立しました。そして、2021年7月1日に「電話リレーサービス」が公共インフラとしてのサービスとして始まり、一般財団法人日本財団電話リレーサービスが、提供機関として事業の運営を担うことになりました。

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