研究紹介
Research異分野データ連携分析基盤技術の研究開発
Society 5.0時代のデータ利活用を推進すべく、様々なセンシング技術により取得されたデータや各種のソーシャルビッグデータを利活用するための異分野データ連携基盤を開発するとともに、持続可能な社会を目指したスマートサービスの開発・展開を支援するプラットフォームの構築と、地域IoTを活用したオープンイノベーション推進活動を行います。
異分野センシングデータのデータマイニング技術
複数の情報源に蓄積されたセンシングデータを分析目的に応じて集約・統合し相関性を分析するデータマイニング技術を開発しています。時空間的に偏ったデータのクラスタを発見し局所的に相関性の高い頻出アイテム集合を発見する手法や、事故や災害など稀なケースにおいて相関性の高いデータを発見する処理を高速化するアルゴリズム、高頻度かつ高効用なアイテム集合 (High Utility Frequent Itemset)の効率的な発見方式などを開発し、豪雨・豪雪などの異常気象が発生した際に交通障害(事故や渋滞など)が発生する可能性を過去の事例から予測することなどに応用しています。
深層学習による環境品質予測技術
気象や大気などの環境データを対象に、Convolutional Neural Network (CNN)による空間パターンの学習とLong Short Term Memory (LSTM) による時間パターンの学習を統合したConvolutional Recurrent Neural Network (CRNN)方式による予測技術の開発と、越境汚染による大気質指数の短期予測などへの応用を行っています。本技術は、環境データの時空間的な連続性を考慮してCNNとLSTMの統合方法を工夫することにより、高い汎用性と予測精度を両立させています。また、目的に応じて様々な観測データやユーザ収集データを連携させ予測を最適化する技術の開発にも取り組んでいます。
データ連携分析プラットフォームの構築
様々な情報源からデータの収集・抽出・変換を行うデータローダや、データの時空間統合や相関ルール発見を行う相関マイニング、時空間相関パターンの機械学習を行う相関学習・予測、及び予測結果からGISデータを生成・配信しルート探索やアラート通知を行う機能を実装したxDataプラットフォーム(クロスデータプラットフォーム)を、NICT総合テストベッド上に構築しています。
【応用例】環境×交通データ利活用による安全なルートのナビゲーション
様々な気象データと交通データの相関マイニングにより、豪雨・豪雪等の異常気象による様々な交通障害のリスク予測マップを生成・配信し、リスクを避けた安全なルート探索を行います。
自然災害や地域イベントなど突発的な環境変化による交通リスクに対応したスマートなカーナビアプリを考案すべく、リスク予測マップやルート探索を活用しながら、カーナビの画面表示や経路変更をカスタマイズできる開発環境を使ったハッカソンを行っています。
関連トピック
- Smart Sustainable Mobilityハッカソン(2019年2月23~24日)
【応用例】環境×健康データ利活用による健康づくり支援
気候や大気、自然など、地域の 環境資源を健康資源に転換し、住民の健康増進や地域におけるヘルスケア事業の創出に資するスマートサービスの開発を目指し、小型センサーを用いて収集した大気環境の個人暴露データや、ウェアラブルセンサーを用いて収集した活動量や自律神経バランス等の健康データ、CRNN方式に基づくAQI短期予測などをプラットフォーム上で組み合わせ、大気環境と健康の相関性を示すデジタル地図を作成したり、ウォーキング中の活動量と大気品質の良さをポイント化する実験システムを開発し、ウォーキングによる健康づくりと環境データ収集を兼ねたユーザ参加型実験を行っています。
関連トピック
- 「カラダにうれしい空気を探そう」データソン(第1回:2018年3月10~4月8日、第2回:2019年3月23~24日/4月6~7日)