センターについて
概要
テラヘルツ帯は、おおむね周波数100GHzから10THz(波長にして3mm-30μm)の電磁波領域を指す。
いわゆる電波と光波の中間に位置し、これまで電磁波の発生及び検出が困難であったことから利用が
進まず、未開拓電磁波領域と呼ばれていた。しかしながら近年、通信分野における無線端末の大容量通信
の要求などに伴い、既に利用されているマイクロ波帯周波数資源がひっ迫し、新たな周波数帯であるテラヘルツ帯を
有効利用する社会的要請が急速に高まっている。これを受けて、テラヘルツ帯で動作可能なデバイスの
研究開発や計測基盤技術の進捗が急速に早まってきており、この新たなスペクトラムを、電波の発信を伴う
「能動業務」に利用する検討が本格的に始まっている。
当センターでは、この動向を加速させるため、NICTの持つ、材料からシステム化までの様々な研究開発力を結集し、
100Gbit/s級のテラヘルツ帯無線通信システムの実現に向けての研究開発
ーテラヘルツ無線テストベッド基盤技術、テラヘルツ無線計測基盤技術、材料等特性評価技術、通信技術を活いかしたセンサー技術ー
を主要課題として推進している。
また、総務省電波部の指導と協力の下、国際電気通信連合無線通信部門
(ITU-R: International Telecommunication Union Radiocommunication Sector)
デジュール標準(周波数分配等)におけるテラヘルツ波の利用に関する議論に積極的に寄与している。
さらにデファクト標準(通信規格等)では、
米国電気電子学会(IEEE: Institute of Electrical and ElectronicsEngineers)において
ローカル・エリア・ネットワークなどの規格を定める802委員会の中でテラヘルツ無線の規格を議論している
IEEE802.15 Standing CommitteeTerahertzにも積極的に参画している。
国内においてはテラヘルツシステム応用推進協議会の運営等を通じて、産業界や学術界との
研究連携の促進や標準化の議論を進めている。
標準化活動(令和3年度)
(デジュール標準)Beyond 5G/6Gの研究開発活動への注目が高まる中、 第5 世代移動通信システム(5G)の約10倍以上の超高速無線 を実現する手段としてテラヘルツ波を用いた無線通信技術への 注目が集まっている。Beyond 5G/6Gにおいてテラヘルツ波無線 を実現するためには、2027年の世界無線会議(WRC-27)でテラヘルツ帯 を移動通信用帯域として特定化する必要がある。このためにはWRC-23で 適切な議題が立てられていることが大前提であるため、WRC-23での議題 を立てるため、複数のワーキングパーティー(WP5A/5C、WP1A、WP3J/3K/3M等) への寄与文書を提出した。
(デファクト標準)
IEEE802.15では、WRC-19でのFS、LMSへのTHz周波数帯の特定を受けて、 IEEE802.15.3dの周波数帯の拡張、バックホール応用における リトライ・インターフレーム・スペース(RIFS)の見直しなどを行う改正に向けた 準備のための研究グループSG3maを立ち上げ、研究グループSG3ma内で改正内容の スコープを合意形成した。その後、改正作業を行うタスクグループTG3maを立ち上げ、 改正作業を開始した。寳迫巌テラヘルツ研究センター長がTG3maの副議長に就任した。
テラヘルツシステム応用推進協議会等の活動(令和3年度)
テラヘルツ波を用いた無線通信技術への注目が高まる中、
テラヘルツシステム応用推進協議会において令和2年度に立
ち上げた「THz-6Gワーキンググループ(THz-6G WG)」
(主査:寳迫巌テラヘルツ研究センター長、副査:川西哲也早稲田大学教授)
で6Gで想定されるユースケース等を複数回にわたって議論し、
令和3年10月に取りまとめた。その結果を、令和4年3月1日にwebinarを利用
して開催した講演会「テラヘルツ無線のB5G/6Gに向けての取り組み」のなか
で報告した。370人を越える接続者があり、Beyond 5Gおけるテラヘルツ無線通信
に対する関心・期待の大きさを実感した。
また、10月にはテラヘルツ技術の新たなユーザーの掘り起こしを目的にビジネスセミナーを実施した。
テラヘルツ研究センター組織紹介
テラヘルツ連携研究室 |
フロンティアICT領域技術
テラヘルツ波リモートセンシング技術 |
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企画室 | 研究センター全体に関する企画・運営、広報活動、渉外対応を担当します。 |