まず、アクセシビリティ支援室の特徴について教えてください。
望月直人さん(以下、望月):アクセシビリティ支援室は、臨床心理学や社会福祉学、特別支援教育などの分野の有資格者を中心とする教員や研究員などで構成されています。障害のある学生の相談に乗るなど直接サポートをする業務をはじめ、各学部の教員と連携して学習環境を整備するような業務を担当しています。私や楠はどちらかというと、コーディネーターとして各学部との連携や調整がメインです。どのような障害を持つ学生がいるのかを把握して、配慮するべきポイントを洗い出すようなことをしています。特徴的なのは、環境を評価するアセスメント担当を1名置いていることかもしれません。アセスメント担当によって配慮が妥当かどうかを査定することで、より学びやすい環境を整えるために必要なことの検討をしています。
困難を抱える学生の状態や要望を汲み取り、最適な学習環境の構築に役立てているということですね。
望月:はい。そのために学生個人についてニーズレポートというものを作成しています。大学での修学上の場面に分けてヒアリング項目を設定し、障害に関連してどういう困りごとが起きているかや希望する合理的配慮を聞き取りします。それをもとにニーズレポート(個別支援内容)をまとめます。もちろん学生の要望をそのまま反映するのではなく、専門家による精査が必要です。身体障害を持つ学生は1年次での聞き取り内容から大きく変わることはほとんどありませんが、精神障害や発達障害のある学生は、4年間にわたって同じ配慮が有効とは限りません。年度途中でも新たな配慮が必要になれば、臨機応変に対応していますし、基本的に1年ごとに配慮の内容を確認するようにしています。学生のニーズのヒアリングが終わるとアセスメント担当にニーズレポートを引き継いで、具体的な配慮内容を決定していく流れです。
発達障害や精神障害についての研究者でもある望月さん