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より多くの人が使いやすい共用品。
この発想を世界に発信したのは日本です(1/5)

1. 共遊玩具を開発されていたそうですが?

共用品への取り組みは、一企業の障害児向けのおもちゃの開発がきっかけで始まりました。私は学生時代に障害がある子どもたちが遊べるおもちゃが少ないことを知り、障害児向けのおもちゃを作りたいと玩具メーカーのトミーに入社しました。新設されたハンディキャップトイ研究室に所属して障害のある子どもたちにおもちゃについての不便に感じていることを調査し、目の不自由なお子さんたちのために、止まっても音がしばらく鳴り続ける「メロディーボール」の開発などにかかわりました。円高の影響で予算が削られたりする中で新製品の開発がむずかしくなり、それならば自社製品のおもちゃを知ってもらおうと、カセットテープ版「音のカタログ」を作りました。障害児向けのおもちゃだけでは数が限られるため、目が不自由な子どもでも遊べるのではないかというものを一般製品の中から選んで、人間の声と音楽で紹介しました。

このカタログを作成しているうちに、一般の製品に少し配慮をしていけば一緒に使えるものにできるのではないかと考えるようになりました。たとえば、スイッチの「オン」の部分に凸があれば、目の不自由な人にも電源が入っていることがわかります。そこで、ファミコンの「テトリス」の盤ゲームに工夫をして発売しました。障害がある子どもも一緒に遊べるおもちゃ、「共遊玩具」の第1号です。

「共遊玩具の開発については、業界全体で統一した基準を作ってはどうか」と日本玩具協会に提案し、承認されました。スイッチのオンの部分に凸表示がある、手から離れたところにあっても音で位置を確認できるなど、いくつかの基準が設けられました。それと共に障害がある子もない子も一緒に使えることを情報として伝えようと、目の不自由な子どもも遊べるおもちゃには盲導犬をデザインしたマーク、耳が不自由な子どもにはうさぎマークをつけました。この表示は玩具業界へと広がりました。共遊玩具の考え方は、それから2年後に世界玩具協会の会議で提案し、世界へ向けて発信しました。

The "Small-bumps" proposal と書かれたマークの画像
※資料1
左は、目が不自由な子どもも一緒に遊べるおもちゃにつけられている盲導犬マーク
右は、耳の不自由な子どもも遊べるおもちゃにつけられているうさぎマーク

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