「インタラクティブ触覚ディスプレイ」とは、データ放送の画面を指でタッチすることで直接操作し、情報を音声と触覚で出力することができる、新しいタイプのディスプレイです。
現在NHKのデータ放送では、気象や株価・円相場など、生活に役立つ様々な情報を提供していますが、視覚に障害のある方にとっては音声化されていないという、アクセシビリティ上の課題がありました。一方で文字情報を音声化することはできても、項目のレイアウトや、グラフや図表、地図などのビジュアル情報を音声で伝えるのは、非常に難しいことなのです。そのような状況をふまえ、従来の画面を触りながら操作できるもの、触れることで頭の中でイメージをつかみ、理解できるようなものが作れないだろうか、と考えたのが、このディスプレイの開発のきっかけです。
2002年頃から当研究所内で開発を開始し、2005年から約2年間は東京大学と共同で、NICTの委託研究「視覚障害者向けマルチメディアブラウジング技術の研究開発」として受託し、研究を進めてきました。この委託研究によって画期的に進化したのが、指の検出技術です。以前はカメラをつけて指の位置を検出していたのですが、なかなか精度が上がらなかったり、照明の条件で変わったりと、苦労をしていました。しかしこの委託研究の期間に、若手研究者の調査により、レーザーと再帰反射板(※)を利用して、指の位置を高精度に検出する光学式タッチパネルを適用することができるようになりました。
また、画面の文字情報を点字で表示する機能も、NICTの委託研究の中で開発したもののひとつです。現在では、各機能についてさらに精度を上げるよう、研究開発を続けながら、実用化を目指しています。
(※)再帰反射板とは、入射した光がそのまま同じ方向へ反射する「再帰反射」という原理を用いた反射板のこと。
インタラクティブ触覚ディスプレイシステム
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原本作成日: 2011年3月15日; 更新日: 2019年8月23日;