障害や病気を抱える子どもたちは、まわりから守られて育てられていることが多いです。社会が障害や病気を配慮しないので親が子どもを守る → 子どもは守られて育つために自立した社会体験が乏しくなる → 当事者が社会に訴えないので社会は配慮について考えない、という複雑な社会背景があります。
これから子どもたちが安心して生きていくためには、このような背景を変えて、DO-IT Japanと親が同じ考えに基づいて、子どもたちにさまざまな経験を積ませることが必要だと思います。
夏季大学体験プログラムには、みな親から離れてたった一人で参加します。私たちはそんな子どもたちに、あえてバリアフリーでない環境も用意します。大学進学だけでなく、その後の就職にも目を向けて、生きる力やコミュニケーション能力を身に付けることも目指してほしいと考えています。参加者からは、私たちの意図を学んでくれた感想が寄せられます。
「自分の障害をよく知るよいきっかけになりました」
「一日中パソコンをさわったのは、はじめて。マッピングソフトVisioやOneNoteはこれから自分のよい手助けになると感じました。この実習を通して、人ばかりではなく、ツールに頼ることも大切だなと思うようになりました」
「言いたいことをうまく頭でまとめることが苦手なので、思考の整理に活用できるソフトがあることを知り、興味をもちました」
「ITを使った支援機器などを実際に使ってみて、全て自分でやることが自立の意味ではないことがわかりました。支援を頼むことも、大切な力のひとつであることに気付きました」
いろいろな障害を抱える子供が参加しているので、自分の障害だけでなく、他の参加者との交流から新しい視点を学び取っていく子供もいます。
「DO-ITにはいろいろな障害がある人たちが参加していて、必要な支援の内容が異なっていました。視覚についても、字を大きくすればいい、コントラストを強くするなど、それぞれのニーズに対応することが必要なこと、パソコンはそれぞれの人のニーズに合わせて、使いやすいように変えられることを知りました。これこそユニバーサルデザインだと感じました」
このような意見が出ることもこのプログラムの成果のひとつといえるでしょう。