UDフォントを採用した企業からは、見やすいという反響があります。イワタでは、新聞用の明朝体、ゴシック体のUDフォントも出しています。新聞の読者は高齢化していて、新聞の文字を変えると少なからずクレームが来るそうですが、このUD明朝に変えたときには、クレームはほとんどなかったそうです。
UDフォントを使ってデザインするデザイナーの方たちに伝えたいことがあります。UDフォントは、字面が大きくできているので、隣の文字との間隔や行間が狭くなります。最近のデザインソフトには、一発で文字フォントを置き換えられる機能があるのですが、そのままUDフォントに置き換えるだけでは、違和感を与えたり、読みにくくなることがあります。UDフォントを使う際には、デザイン上の調整が必要です。そのためイワタでは、自治体やコピー機のメーカーと協賛して、UDフォントのセミナーを年に何回か開いています。
UDフォントを開発したのは、お客様からの声がきっかけでしたが、背景には高齢化社会があります。機械がどんどん小さくなっていくのに、たくさんの機能を詰め込むので、ボタンや表示される文字も多くなります。障害のある方だけでなく高齢者が増加し、見えにくい人が増えているのに、表示される文字が小さくなるという矛盾した世界になっています。UDフォントが世の中に求められているのは、必然といえます。世の中のUDフォントへの注目が高まり、他社でも作るようになりました。
UDフォントは、視覚障害がある方も、高齢者も若い方も男女問わずにユニバーサルデザインというコンセプトで開発しましたが、万能ではありません。もともと用途ごとに特化した書体があるべきという姿勢で開発してきましたが、UDフォントについても今後いろいろニーズに合わせた開発を進めていきます。
現在、弱視の方向けのフォントを筑波技術大学と開発を進めています。1〜2年以内に発表できればいいなと考えています。