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現在位置: トップページ > トピック記事 > 高齢者・障害者支援サービス・取組 > 難病者や重度障害者のコミュニケーションを支援するICT救助隊(3/5)

ブレイルセンスU2日本語版の開発(3/5)

3 開発へのこだわり

 私は、視覚障がいがあっても楽しく、自由に生活を楽しむことをコンセプトに研究を続け、さまざまなシステムや機器を開発してきました。

 ブレイルセンスU2日本語版の開発にあたっては、世の中に出回っているタブレット端末に負けないようなデザインや機能を備え、音声と点字で伝えるモバイル端末としての機能を高めています。生活のシーンで使うだけでなく、仕事でも十分に使えるものにしました。

 従来のブレイルセンスシリーズでも、FMラジオ受信はできましたが、電波状況によっては聞こえにくいことがありました。ブレイルセンスU2日本語版は、「radiko.jp」と、NHKネットラジオ「らじる★らじる」を聞くことができます。radiko.jpは、インターネットにつなげば、パソコンが地上波ラジオの受信機になるIP(Internet Protocol)サイマルラジオの配信サービスです。私は、株式会社radikoと共同でブレイルセンスU2日本語版専用アプリを開発しました。キー入力でアプリを起動させたり、radiko.jpが番組以外に発信している付加価値情報を点字で表示させる開発を担当しました。NHKネットラジオ「らじる★らじる」は、NHKラジオ第1、ラジオ第2、NHK-FM放送が入ります。

 そのほか、RSSリーダー、バーコードを読み上げる「バーコードトーカ―」、乗り換え検索、サピエ検索、点字編集システム「センスこーたくん」、英和・和英辞書、テレビ番組表など、ブレイルセンスU2日本語版用の便利な追加アプリSenseAPPを搭載しています。

 また「GPSレーダー」を内蔵しました。ここ10年ほど力を注いで開発してきたのは、GPS(衛星利用測位システム)レーダーを利用した歩行支援で、このアプリが最大の研究成果です。音声で目的地までのガイドをしたり、周辺の施設情報を通知したりします。自宅で楽しめる仮想散歩とか仮想ナビ機能も提供します。

 視覚障がい者の歩行には、モビリティとオリエンテーションの支援が必要です。モビリティは障がい物を検知して知らせるような支援、オリエンテーションは地図情報を知らせる支援です。GPSは地図データと組み合わせることでオリエンテーションの支援ができます。なお準天頂衛星システムが実用化されれば、天空率(ある地点からどれだけ天空が見込まれるかを示す割合をいう)の低い高層ビル街でも測位精度が向上し、より正確な測位が可能になります。

 また、電子コンパスも内蔵しています。電子コンパスは、歩みだす方向や歩いている方向を確認するうえで有用なデバイスです。

 ただし、視覚障がいのある方がひとりで外出するのは危険ですから、まずは付き添いの方と一緒に使ってください。

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