わたしたちは、NTTドコモのサービス「しゃべってコンシェル」のサーバ開発や、おサイフケータイのアプリ開発、会員数4000万人以上のアプリの開発運用、Androidのプリインストールアプリの開発など、ことモバイルに関しては、技術とノウハウを蓄積し、実績をあげています。今回、そのリソースを生かして、スマートフォンやタブレット端末を媒介にした障がい者支援ツールを作ることができないかと考え、生まれたのがAndroid用「AT‐Scan」です。
「AT‐Scan」は、従来、環境制御装置が担っていた機能をスマートフォンやタブレット端末で代替するものです。高齢者や四肢障がい者の方の生活を支援するアプリとして開発し、2013年9月にリリースしました。
環境制御装置は、もともと四肢障がい者の方が利用する機械で、ベッドの操作や玄関の施錠、テレビのスイッチのオン・オフなどをできるようにするものです。ですが、この装置はほとんどのものが有線式である上、利用者の障がいの程度や状況に合わせて製造されるため、価格も100万円以上かかってしまうものもあるなど、高額で利用者に負担がかかってしまうのが大きな課題でした。故障の際にも、個別にカスタマイズされている分、修理に時間がかかってしまいます。
一方、市場が確立されているわけではなく、既存の環境制御装置のメーカーも事業から撤退するところが多かったのです。
わたしたちは、環境制御装置の機能を低コストで提供することで、同機能でもニーズがあるはずだと考えました。環境制御装置のビジネスモデルの多くが、行政からの補助金を頼りにしている側面があり、我々としては、補助金に頼らず、自立して運用できるサービスを目指しました。コストを抑えるために、スマートフォンのもつ汎用性を活用することにしたのです。
高齢者と四肢障がい者の方向けホームアプリケーション「AT‐Scan」