既存の環境制御装置を使われている四肢障がいのある方には、事業者が継続できていないといった問題があるのは、すでに申しあげたとおりです。そこで、そうした方たちにリサーチを行ったところ、「環境制御装置でできるような家電製品の操作」と、「簡単なメッセージのやりとり」への要望が多くありました。
そこで、まず家電の操作の面では、既存品の高機能な学習リモコンに学習させ、「AT‐Scan」と連動させました。「AT‐Scan」がインストールされたスマートフォンやタブレット端末へのタッチひとつで、家電操作を連動させることができます。
「AT‐Scan」のホーム画面には、「テレビ」や「電源ON」などの項目を自由に配置することができます。その「AT‐Scan」の画面上を、カーソルが自動で規則的に動くので、自分の利用したい項目の上にカーソルがきたら、「AT‐Scan」をタッチします。すると、信号が学習リモコンに伝わり、テレビやライト、エアコンなどの家電のスイッチが入ります。「AT-Scan」は外部スイッチとの連動も可能です。仮に手が不自由であっても、例えば、足の指、息や瞬きなどの動きなどにセンサーが反応して連動するスイッチと組み合わせて使用していただくことで、四肢障がいや重度の障がいをお持ちの方の状況に合わせたかたちで、幅広く対応できるものと考えています。
「簡単なメッセージのやりとり」という面では、メモ機能とメッセージ機能をつけました。メッセージ機能の仕様としては、Facebookと連携し、メッセージを送るものです。緊急の呼び出しなどのニーズも多いですし、この機能を使ってご家族やお医者さん、お友だちに、簡単にメッセージを送れるようにしました。将来的にはFacebookを通じ、同様の障がいを持たれている方同士がつながりを持つきっかけになれたら、という思いを込めています。
このほかにも、音声読み上げ機能や音声入力機能などがあります。
「AT‐Scan」のFacebookと連携したメッセージ送信画面