アプリとして開発した際に、スマートフォンの進化のスピードが早いことは、想定以上のものがありました。例えば、最新のiOSは、「AT‐Scan」でも使用しているスイッチコントロールの仕組みが標準で組み込まれています。それらは今のところ、学習リモコンと連動することは難しいので、「AT-Scan」と同様の機能を果たすのは難しいのですが、海外の企業でも積極的な開発が行われている例だと思います。OSや端末の進化が早いので、それに応じて我々も開発スピードを上げていかなければいけません。
おもな対象者はもちろん身体障がい者の方ですが、「AT‐Scan」は障がい者の方でなくても便利に使える機能があり、将来的には、ホームアプリとして、障がいのあるなしにかかわらず、ご家庭でも使えるものにしたいと考えています。たとえば、カーソルが自動で動くオートスキャン機能や、画面をタッチしてカーソルを動かし、決定したいときはタッチをやめると、一定時間後に決定となるステップスキャンという機能などは、健常者の方でも便利に利用できる部分です。
180万人ほどいると言われている在宅の四肢障がい者のうち、メインターゲットはそのうちの30万人前後ではないかと考えています。また、施設や病院への導入などいろんな方向性、可能性のあるアプリケーションだと思っていますので、販売は身体障がい者の在宅の方々だけではなく、もう少し幅広く考えています。今後は海外にも市場を広げていきたいですし、企業間取引をするなどしてコンテンツサービスを充実させていきたいと考えています。
障がいを持たれている方は情報を取得する手段が少ないため、わたしたちのサービスを知る機会も限られてきてしまいます。その点では、今回、国際福祉機器展のNICTブースに展示する機会を得たのはとても良かったです。ダウンロード数も、福祉機器の展示会参加を機に少しずつ増えています。多くの方に、このアプリケーションを知っていただく場が増えればと願っています。そのためにも、「AT‐Scan」の導入事例などを集め紹介していけるようにしたいですね。一般の消費者との接点がある企業と提携して、今後ユーザーを増やしていくという展開も考えています。
国際福祉機器展での展示