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視覚障がい者向け歩行支援システム(4/4)

4 製品化に向けて

 今年度(2013年度)、この歩行支援システムで特許を取得しました。現在、2年後の製品化に向けて開発を続けているところです。視覚障がい者の団体にご協力いただき、障がいのある方に使っていただいて、その感想をヒアリングしています。同時に、展示会で一度に30人くらいの人に使っていただいて感想をうかがうこともしています。その中で興味深い意見としては、意識する範囲の違いについて指摘がありました。いままで白杖や盲導犬と歩いていたときは、前方1メートルくらいの路面の様子について意識していたそうですが、この歩行支援システムでは前方3メートルくらいの路面についての情報が得られます。情報収集の範囲が異なるために、いままでと違う感じがあるということでした。そのような意見をいただいたので、実際にこの歩行支援システムの使用を開始する際にはその感覚の違いを埋めるような訓練が必要だと気づきました。

 今、最も工夫したいと思っているのは、危険を検知した場合の伝え方です。今の段階では「ポンポン」というアラーム音の高低で危険をお知らせしていますが、「下り段差があります」というように言葉で知らせることも可能ですし、振動で伝える方法もあります。どのような方法がベストなのか、実際に使う人の希望を反映させていきたいと思います。

 また、警報を発するべき段差のレベルについても改善を検討しています。階段や駅のホームからの転落防止を目的としてある程度大きな段差についてアラームを発するのか、つまずくくらいの数センチの段差もアラームを発するべきなのか、この辺は、使用する場面や障がいの程度によっても変わってきます。全盲の人が外出する際に屋外で使うのであれば、あまり小さな段差までアラームが鳴ってしまうとアラームが鳴りっぱなしになってしまうことが想定されます。それではむしろ動きにくいかもしれませんし、少し見えている方ならご自身の目ではわかりにくい程度の小さい段差を検知したほうがいいかもしれません。

 視覚障害で身体障がい者手帳を持っている人は31万人強(平成18年厚生労働省)。緑内障等の目の病気の発生率などから試算した結果では、実際には、日本国内に160万人以上の目が不自由な方がいる(平成21年 日本眼科医会)と推定されています。この歩行支援支援システムを量産し、多くの人が使える状況になれば、価格を最終的には10万円程度まで下げられるかと考えております。また、その際にはぜひ日常生活用具給付の対象となるようにしたいと思っています。

 後天的に目が不自由になった方には、外出が億劫になりひきこもってしまう人も多いと聞いています。この歩行支援システムが外に出るきっかけをつくれるようになればと思っています。

取材日:
2014年1月
取材協力:
株式会社アルファメディア

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