そもそも、このような課題に取り組む最初のきっかけは、立川エムアンドシーの榊健二代表が高崎商科大学商学部教授で工学博士の竹上健先生を紹介してくれたことでした。榊代表とはそれまでもシステム開発でご縁があったのですが、立川エムアンドシーはメーカーではないので、なんとかしてこの歩行システムを製品化したいということで、当社に声がかかりました。
もともとアルファメディアは、「人に優しいマルチメディアをあなたと共に創造する」を理念に、福祉や教育分野での製品開発に力を入れてきました。1996年、まだWindows3.1の時代に、聴覚障がい者と健聴者とのコミュニケーションを円滑にするために、世界初の日本手話電子辞書「ムサシα」を開発・販売しました。ムサシαは、日本語を入力すると手話の動画が表示されるソフトでした。いまでは動画も一般的にパソコンで見られますが、普通のデスクトップパソコンが今の携帯電話よりずっとスペックが低かった時代です。当社は、ハードウエアの設計・開発から、ソフトウエアの企画・設計・開発まで行っており、画像解析の技術もありますので、この歩行支援システムの開発には適していたと思います。
とはいえ、2009年時点は会社として採算が取れるのか確信がなかったので、まずは個人的に参加しました。2010年から会社として予算を組み、高崎商科大学と立川エムアンドシーと3者のプロジェクトとして開発しています。今では、展示会に参加して、新聞などにも多く取り上げていただき、障がい者の団体の方からご協力の提案をいただくようになってきました。