また、失語症の代表的な症状のひとつに、「頭に思い浮かんでいる事柄」と「それを表現する正しい言葉」が結びつかないというものがあります。たとえば、「オムライスが食べたい」と思っても、「カレーライスが食べたい」と言ってしまうようなかたちです。こうしたコミュニケーションミスも、思い浮かんだと同時に「喚語屋言兵衛」を起動すればイラストとセットになっているので、選択を間違える可能性が下がります。
とはいえ、3400種のアイコンがすべての言葉をカバーしているわけではありません。そこで、アプリケーションにはカメラ機能も搭載し、撮影した画像をアイコンとして名前を付けて追加することも可能にしました。たとえば、スポーツがお好きな方は選手の顔写真を追加したり、よく食べるお菓子を追加したりすることで、自分だけのオリジナルの単語帳として、会話の際に活用の幅が広がります。なお、アップデートできる画像のデータ数については、タブレットの容量に依存します。
アプリケーションには写真撮影機能も付与。撮影した画像はアイコンとして登録できる
また、単語の読み上げ機能については、重度の症状の人にとっては音があると余分な情報になって、混乱を招きかねないというアドバイザーからの助言があり、付けていませんでした。ただ、展示会などで使用していただくと、「読み上げ機能があった方がいい」という当事者の声も聞かれました。そこで、読み上げ機能の「あり・なし」は切り替えられるかたちにして新しく追加しました。