「NEC難病コミュニケーション支援講座」は2008年の秋から始まったのですが、それよりも前、2002年には「NECシニアITサポーター養成講座」というシニア層向けのITリテラシー向上を目指した講座を始めていました。当時、シニア層のITリテラシーが低いことが社会課題だと捉えていたためです。ところが、いまやスマホやパソコンを難なく操作できる高齢者が多くなり、シニア向け講座に対するニーズは低くなってきたように感じられました。
そこで、あらためて「より深刻な社会課題は何だろうか」と社内関係者やNPO等とともに検討を重ねました。その結果、出した答えが、神経筋難病を患っている方を対象にした、ICTを使ったコミュニケーション支援でした。
当事者の方の中には、50音が並んだ透明文字盤のみならず、ICT端末を活用して文字を入力する「意思伝達装置」という補装具を持っていて、きちんと使えている方がいらっしゃるのですが、課題を感じたのは、医療従事者や福祉作業員が、「意思伝達装置は聞いたことはあるが、詳しく分からない、」「使い方がわからない」などの理由で、患者さんのコミュニケーションの可能性を閉ざしてしまうことでした。そこで、より多くの難病当事者の、円滑なコミュニケーションを可能にするための講座内容を設計することになりました。
池田さんは、「NEC難病コミュニケーション支援講座」の運営において中心的役割を果たしている