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ICT端末活用の手話通訳サービスが始動〜名張市障害福祉室〜

1 手話言語にまつわる条例がICT端末活用のサービスのきっかけに

2017年6月に、「名張市手話その他コミュニケーション手段に関する施策の推進に関する条例」が制定されました。目的は「お互いに尊重し、共生する社会」の実現で、手話への理解の促進や、障害者がコミュニケーションをとりやすいようにするなど、聴覚障害者をはじめ、あらゆる障害者の権利向上にまつわる条例になります。こうした条例は全国的に広まりを見せていて、名張市では2016年9月に市議会議員から「手話言語条例が全国的に制定されているけれども、名張市は設けないのか」という質問に対して、市長が検討の意思を伝えたことがきっかけで制定されました。

ただ、条例は理念や概念をうたうもので、具体的に何をすれば障害者のコミュニケーションに関する配慮になるのかなど、事業を推進するにあたっては、活動の取り組みを決める委員会において、名張市が提供するものの一つとして、タブレットによる手話通訳サービスの導入が決まったものです。

動画による手話通訳サービスに関しては、以前から行政の現場レベルで導入したいという話が挙がっていました。これまで、たとえば「申請書類に押す印鑑はシャチハタでいいのか」といった簡単な問い合わせも、聴覚障害者は電話で聞くことができないので、わざわざ市役所まで出向いたり、FAXを送信して返答を待ったりと、健常者であればすぐに解決する質問も、手間と時間がかかっていたのです。こうした問題を解決しようと、厚生労働省でも「日常生活用具給付等事業」を展開しており通信装置も補助対象になっています。その補助を受けて、個人でもテレビ電話を設置することができます。ただ、インターネット回線を引くコストも必要です。そこで、これまで名張市の公民館にある「まちの保健室」という包括ケアサービスを実施している15拠点に、公負担でテレビ電話を置いたら、わざわざ市役所に来なくてもいいんじゃないかとの意見もありました。実際に全国手話通訳問題研究会に参加した時に、テレビ電話のデモンストレーションを見て、システムとしてもいいのではないかと検討を進めていました。

その折に、前述の条例が制定され、さらに名張市出身の個人男性から障害者支援事業に500万円の寄付も受け、その予算を活用できることになりました。ただ、テレビ電話の事業は、300万円あまりの費用がかかります。そこで、浮上したのがスマートフォンやタブレットといったICT端末を活用した手話通訳サービスです。

ICT端末を活用した名張市の手話通訳サービスの使い方イメージ
  ICT端末を活用した名張市の手話通訳サービスの使い方イメージ

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