音声ガイド付き映画体験会の様子
(著作権保護のため、映画はモザイク処理を施しています)
訪問者を増やしたりデジタル機器などを普及させるための取り組みとして、イベントも積極的に開かれています。
三宅:音声ガイド付き映画体験会やクライミング体験会を開き、ほかの場所ではなかなかできない体験を提供しています。また、デジタル機器の便利さをもっと多くの人に知ってもらうために、iPhone/ iPad活用相談や拡大読書器の体験デーも設けています。視覚障害のある人の趣味の充実や、生活の質の向上につなげたいという想いです。
体験会ではインストラクターのサポートを受けながら、
クライミングに挑戦できる
視覚障害のある人にとってデジタル機器がとても便利なことは、先ほどからのお話でも伺えます。
三宅:スマホなどデジタル機器の普及は、私たちの今後の課題だと捉えています。東京や大阪といった都市部ではかなり広まっている印象ですが、反対に地方はまだまだ普及途上ですね。
普及を進めるにはどんなアプローチが有効だとお考えですか?
三宅:機器を使いこなす当事者が一人現れると、周りでも一気に普及するケースをしばしば見てきました。スマートフォンで身の回りの文字を拡大したり、紙幣や硬貨を識別できると知ると、自然と自分もトライしたくなる。
私たちの役割は、そのように生き生きと暮らす当事者の存在を発信することです。例えば、以前に私のiPhoneセミナーを受講していたMSDiサポートの井上さんは、目が不自由とは思えない速さでiPhoneを操作し、SNSや外出に活用しています。
また、ここのスタッフに和田という全盲の男性がおり、彼はキッチンエリアでよくコーヒーを入れています。先日は、友人やそのお子さんとアイススケートを楽しんだそうです!
彼らのような高い生活技術を持った人の存在が広まれば、「自分もできるようになりたい」と意欲的になる当事者も増えるはずです。私たちもFacebookやウェブサイトでの効果的な発信を模索しています。
最新のスマートスピーカーやスマートグラスも試すことができる
見えにくい、見えない当事者がデジタル機器を使いこなしていることは大きな励みになりますね。高齢者の方はいかがでしょうか?
別府:高齢の人は、デジタル機器には抵抗を感じるケースが多いですね。まして見えにくさも加わると、話はいっそう難しくなります。ただ私の経験では、はっきりした目的がある人は道具を使いこなせるようになることが多いです。お孫さんの写真を見たいとか、SNSで家族とメッセージをやり取りしたいとか。
ある女性は、バックライトがあって見やすいと携帯電話の画面を時計代わりにしていました。そこで試しに、拡大読書器で携帯電話の画面を拡大したらお孫さんの写真を見られたんです! その方は本当に、泣いて喜んでくださいました。本当に嬉しかったですね。