聴覚補助用のearsopen®を付けると、会話しながらテレビの音を聴くこともできる
いま試聴したのは音楽用イヤホンでした。聴こえに不安のある人に向けた聴覚補助用イヤホンは、ユーザーの反応はいかがですか?
謝:あるユーザー例として、私の知人で生まれつき右耳が聴こえない男性がいます。彼に試してもらったところ、78年間の人生で初めて右耳から音を聴くことができたのです! 彼は手紙でそのときの感激を伝えてくれました。
磯部:音が聴こえるようになってから、彼の表情や雰囲気はまったく変わりました。生まれて初めて立体的な音を聴いたという感動。その感動がもたらす喜びや興奮が、はっきりと見て取れたんです。
ユーザーの喜びの声を紹介してくれる謝社長
高齢の人の、加齢による聴力不安への効果はいかがでしょうか?
謝:私たちの経験上、ご本人の認知機能が安定していれば8割ほどの人に効果がある感触です。100%と言い切れないのが、力不足で大変残念なのですが……。
骨伝導による聴覚補助機器は、ある種類の聴力不安には効果がないとも言われるそうですね。そういった意見に対するお考えを伺えますか?
謝:聴力不安は、現在の医学では三種類に分類されています。外耳や中耳の構造的な問題を原因とする「伝音難聴」。音の感覚刺激を内耳から聴覚神経に伝える過程に問題がある「感音難聴」。そして、二つを併発している「混合難聴」。
骨伝導は、伝音難聴には効果があるが感音難聴には効果が小さいというのが定説です。
しかし、私たちが訪れた、ろう学校の生徒たちの話を聞いてください。2017年11月、私たちは開発に協力してくれた彼らに、完成したearsopen®をプレゼントしました。多くは生まれつきの聴力不安を抱える子どもたちです。
いざ試してみると、20人ほどのうち1名を除いて全員が「音が聴こえる」と。しかも、彼らは以前に骨導聴力検査を受けたことがあり、2名の生徒以外は「骨導聴力はない、もしくはとても小さい」という診断を受けていたそうなのです。
ところが、earsopen®では音が聴こえた。
謝:20人ともなれば、きっと三種類それぞれの難聴を患う人がいたはずです。何が言いたいのかというと、先ほどの定説はあくまでも「既存の」骨伝導技術をめぐる話に過ぎないということです。私たちの骨伝導はオンリーワンの技術。従来の骨伝導を超えたという意味で「超骨導」と呼んでいます。伝音難聴か、それとも感音難聴かは、私たちには関係ないのです。従来の骨伝導機器で聴こえなかった人にも、ぜひ試していただきたいですね。