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そもそも、なぜ「メグリー」を開発しようと思われたのでしょうか?
青木:高齢者の運動不足について問題意識を感じ、解決したいと考えたからです。運動不足が原因で筋力が低下してしまい、介護を必要とする方も多いと耳にしました。ただ、運動しない人に運動するよう促すことは非常に難しいです。そこで、散歩に興味を持ち、モチベーションを刺激して主体的に体を動かしてもらえるようになればと考え、「メグリー」を開発しました。国内で最も浸透しているLINEを利用することで、高齢者が参加しやすくなり、使い易いものにして継続性も高められると考えています。
どのような経緯でこのサービスを思いついたのでしょうか?
青木:偶然、「ログイニング」という野外スポーツを知りました。「ログイニング」は、私が幼い頃に経験したオリエンテーリングのようなもので、地図をもとに複数設置されたチェックポイントを制限時間内にできるだけ多く回り、得点を競うスポーツです。この仕組みをデジタル化できないかと考えました。
以前から弊社は、マーケティング支援をしています。その中で企業の顧客となるユーザーに行動変容を促すため、LINEの友だち登録者と顧客管理データを連携させてコミュニケーションを確立するシステム「COAKI」を提供してきました。これに「ログイニング」の要素を組み合わせ、さらに位置情報の技術を用いたものが「メグリー」です。開発当初は、「COAKIロゲイニング」と呼んでいましたが、様々なところを巡っていただきたいと思い、名称を「メグリー」に改めました。
他のサービスと比較して「メグリー」の強みは何ですか?
青木:2つの強みがあります。1つは、エンターテイメントの要素を取り入れたことです。多くのサービスは、健康の管理・監視を行うことに重きを置いています。例えば、1日の歩数を可視化し、歩数が目標値に達していないと指摘するようなものです。しかし、数値によって運動不足を認識しても、実際に行動に移せない人は少なくないと思いました。それよりも、まずは外に出てみようとか、ちょっとそこまで行ってみようというモチベーションの方が大切です。私は、長らくエンタテーテインメント業界で仕事をしていたので、人間は「楽しい」などのポジティブな気持ちがなければ、自発的に行動しないこという考え方が染み込んでいました。そこで、「楽しい」という気持ちに火をつけて、モチベーションになるコンテンツを重視しました。
もう1つは、LINEで完結するシンプルな操作性です。高齢者の多数が、電話の次にLINEをコミュニケーションツールとして使用しています。多くの高齢者は、ICTを使った新しいサービスの導入に抵抗をお持ちです。お孫さんとのやりとりなど日頃から使用しているLINEの操作性であれば、新たにインストールして覚えたり、設定したりする必要がないため、導入のハードルは低いと考えたのです。