超伝導って何?

金属を低温すると電気抵抗が小さくなります。
しかし、金・銀・銅などは絶対温度をゼロにしても電気抵抗は完全にゼロにはなりません。これらの金属を常伝導物質といいます。
それに対して、いくつかの金属および金属化合物は、ある温度を境に突然、電気抵抗がゼロになる超伝導状態になります。
この超伝導状態になる温度を、超伝導臨界温度:Tcといいます。

また、超伝導状態の材料で作製した回路は、いったん流れ出した電流は永久に流れつづけると考えられます。この電流を永久電流といいます。

もうひとつの超伝導の現象として、超伝導体を磁場中に置いた状態で臨界温度以下まで冷やすと,超伝導体内部の磁場が排除される現象(完全反磁性もしくはマイスナー効果)が見られます。

 
超伝導の発見

オランダの物理学者である Heike Kamerlingh Onnes(1853-1926)は、1908年に液化しないと考えられていたヘリウムの液化に成功し、4.2K(-269℃)という、極低温環境を手に入れました。
その極低温下での金属の電気抵抗を調べ、1911年には水銀の電気抵抗が4.2Kでゼロになる超伝導現象を初めて発見しました。
その後、スズ、鉛などでも超伝導現象が起こることも発見しました。
これら低温物理学への貢献により、1912年にランフォード・メダル、1913年にはノーベル物理学賞が授与されました。

 
超伝導体元素

多くの元素が超高圧・極低温の条件下で超伝導を示します。

 
超伝導の応用

超伝導は、その特性を生かしたさまざまな応用が可能です。

まず、エネルギー応用として、電気抵抗ゼロの特性を生かして、エネルギー損失の非常に少ない、効率のよい電力の生産・送電を可能にします。

また、医療分野での応用として、非侵襲で検査ができる、超伝導材料で作製した強力な磁場を発生する電磁石を用いたMRIシステム、超伝導量子干渉素子(SQUID)を使用した次世代医療機器などがあります。 輸送分野では、超伝導磁石の力で浮いて走る超電導磁気浮上式リニアモーターカーがあります。騒音や振動が少なく、高速走行が可能です。

エレクトロニクス分野では、従来のトランジスタの代わりに超伝導単一磁束量子(SFQ)素子や超伝導量子ビット(Qbit)素子などを使用した、超低消費電力、超高速のデジタル回路と量子コンピュータへの応用があります。 また、超伝導トンネル接合を利用した超高感度、極低雑音電磁波受信機は、電波天文観測や地球環境計測などで使われています。

近年、量子情報通信の分野では、超伝導ナノワイヤを用いた光子検出器が高速、高検出効率、極低雑音かつ広帯域単一光子検出器として注目され、量子暗号鍵配送フィールド実験で使用されています。

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