月や小惑星には水や金属鉱物などの“宝資源“が存在すると見込まれるものの詳細な場所は不明です。我々は宇宙探査の中継地点など新産業が期待される月において、新たな電磁波テラヘルツリモートセンシングを利用し、世界に先駆けて宇宙資源地図「Space Treasure Map」を作成します。
JUICE(JUpiter ICy moons Explorer、木星氷衛星探査計画)は欧州宇宙機関 (ESA)が主導し、日本や米国も参加している史上最大級の国際太陽系探査計画です。2023年に打ち上げ、2031年に木星系に到着、2034年に衛星ガニメデの周回軌道への投入が予定されています。私たちはテラヘルツ分光計(SWI)で衛星の水や氷の存在を観測し、人類の太陽系での活動や地球外生命の可能性を探ります。
欧州宇宙機関ESAによるJUICEの打上げキット
テラヘルツ分光計(SWI)のXはこちら
世界初の超小型テラヘルツ火星探査機の開発を行っています。テラヘルツ波を利用して水分子や酸素分子などの存在量を精密に測定し、水資源や生命の可能性を探ります。安くて軽くて小さくて、相乗りでの打ち上げが可能な探査機を、定期的に火星に送り込む体制をつくることを目指しています。
CII (Clean aIr Index) は、空気のキレイさを表す指標です。汚染物質の種類に よらず、空気の清浄度を総合的に表す世界共通基準として提案しています。キレイな空気は、価値ある資源です。
空気は、水や土壌と並ぶ貴重な環境資源です。空気中を漂うエアロゾルは、PM2.5など健康被害を引き起こすとともに、気候変動予測の上でも重要な物質です。これまで、エアロゾルは専門的な装置で測定されてきましたが、我々は、SNAP-CIIというアルゴリズムを開発することで、「だれでもスマホ1つで大気エアロゾル観測ができる」を実現します。
GOSAT-GWは、温室効果ガスを観測する一連の衛星であるGOSATシリーズの3番目の衛星であり、2024年度に打ち上げ予定です。GOSAT-GWでは、CO2やメタンなど温室効果ガスと大気汚染物質(二酸化窒素, NO2)の同時観測に新たに挑戦しています。
我々は、このNO2濃度を高精度かつ高速に導出するデータ処理システムを開発しています。
地球温暖化をもたらす二酸化炭素CO2やメタンガスCH4などの温室効果ガスの濃度分布を観測し、かつそれらの排出起源(工場など人が排出したものか、自然界から放出されたものか)を定量的に明らかにします。そのために、我々は温室効果ガス観測技術衛星GOSATの観測データに注目しています。
SMILES(超伝導サブミリ波リム放射サウンダ)は、世界に先駆けて超伝導技術を搭載した、高感度な大気観測器です。情報通信研究機構 (NICT) と 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が共同開発しました。国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟で2009年9月から観測を開始し、2010年4月に観測を停止しました。サブミリ波(=テラヘルツ波)を利用してオゾン(O3)や塩化水素(HCl)など、オゾン層破壊や大気汚染に関する物質を高精度で観測しました。
日本および世界の大気汚染状況と、その発生源、プロセスを理解することを目的として、国際宇宙ステーションから大気環境の観測を行うプロジェクトです。テラヘルツ波を利用した高い空間分解能での測定によって、高精度での発生源を特定します。
私たちのフィールドは、宇宙だけではありません。テラヘルツ波に関係する技術はもちろん、宇宙空間の過酷な環境に耐えうる超高精度の探査機を、小さく、軽く、安価に作りあげるために、最先端まで磨かれてきた周辺技術がいくつもあり その一部をご紹介します。