SNAP-CII: 画像解析によるエアロゾル濃度推定アルゴリズム

空気は、水や土壌と並ぶ貴重な環境資源です。空気中を漂うエアロゾルは、PM2.5など健康被害を引き起こすとともに、気候変動予測の上でも重要な物質です。これまで、エアロゾルは専門的な装置で測定されてきましたが、我々は、SNAP-CIIというアルゴリズムを開発することで、「だれでもスマホ1つで大気エアロゾル観測ができる」を実現します。

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SNAP-CII
とは

SNAP-CIIは、スマホなど一般的なカメラで撮影された画像データからエアロゾル濃度を推定するアルゴリズムです。
エアロゾルと空気分子では、太陽光の散乱の仕方が青・緑・赤の波長成分により異なります。
SNAP-CIIでは、撮影された空の画像データから青・緑・赤の成分を抽出し、エアロゾル濃度を3段階(低・中・高)に分類します(図)。
エアロゾルが少ない場合は、空気分子により青の光がより多く散乱されるため、空は青く見えます。
エアロゾルが多い場合は、エアロゾルにより青・緑・赤の光が同程度の強さで散乱されるため、空は白や灰色に見えます。
SNAP-CIIでは、この違いを機械学習モデルで学習することで、高精度にエアロゾル濃度を求めることができます。

自分の空を自分で測る

SNAP-CIIは、広域の連続観測が得意な衛星観測にも劣らない巨大なエアロゾル観測データベースを構築する可能性を持っています。
SNAP-CIIにより、カメラ撮影によるエアロゾル観測手法が確立されれば、日常的に使っているスマホなどのカメラがエアロゾル観測装置になり、何気なく行っている写真撮影がエアロゾル観測になります。
これまでは、その日の空気の品質は専門サイトや行政などからしか得ることができませんでしたが、これからは自分で測れるようになります。
将来的には、これら市民の方々による写真を集め、SNAP-CIIにより求めたエアロゾル濃度データをデータベース化し、広く共有していくことを目指します。



市民参加によるエアロゾル観測ネットワーク

SNAP-CIIの研究はNICT、九州工業大学、福岡大学、東京都立大学の4者による共同研究により2020年からスタートし、翌年からは株式会社ウェザーニューズも加わっています。
また、観測カメラの設置や写真データの提供において、北九州産業学術推進機構や北九州市立大学、長崎大学、明治学園中学高等学校など、非常に多くの方々の協力を頂いています。

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