TEREX-2
人工衛星として
火星軌道を周回しながら観測
TEREX-2 は、超小型の人工衛星です。重さはわずか100kg。地上から高さ約400kmにある周回軌道を、5時間20分で一周します。
TEREX-2で観測する対象は、酸素O2、オゾンO3、水H2O、過酸化水素H2O2の4種類の大気分子濃度と温度と風速、磁場です。生きるために必要な酸素や水などが、火星のどこにどのくらいあるのか、人類史上最高の精度で知ることができます。
観測方法は2種類あります。大気を真上から観測する方法(ナディア観測)と、真横から観測する方法(リム観測)です。太陽は、空の真上にあるときは白っぽく、地面に沈むときは赤っぽく見えます。それと同じように、空の真上から観測するのと、真横から観測するのでは、テラヘルツ波で「見える」ものも異なります。
これまでに知られている事実から、観測結果を予想したものが下の図です。 グラフにある山や谷の位置・大きさ・幅などによって、酸素や水などの化学物質が、どの高度で、どれくらい存在しているのかがわかります。 実際の観測結果がこのとおりなら、ひと安心。もし違っていたら、大発見!です。
TEREX-2の要:観測精度
火星の気候は、サハラ砂漠よりも過酷です。空気中の水蒸気が少ないため、気温がとても変わりやすい状態にあります。局所的な砂嵐が発生し、大気が塵におおわれることもしばしばあります。また火星には四季があり、年間を通じての温度や気圧の変化も激しいことがわかっています。
私たちが火星の気候について知るには、観測を何度も行う必要があります。たとえ同じ季節に同じ場所で測定しても、そのときの太陽活動の様子や塵の発生具合によって、大きく異なる値が観測されるからです。
そして、観測の精度が非常に重要です。探査機の打ち上げ前に、コンピュータによるシミュレーションで、機器精度や大気循環モデルをもとに、どの程度の誤差を持って観測できるのかを検証しています。その結果、十分な精度が確保できることを確認しています。