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発表のタイトル:J-WASと総務省実証実験のご紹介

発表者:実証実験事務局、アライド・ブレインズ株式会社 代表取締役 内田 斉(うちだ ひとし)

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a. 総務省のウェブアクセシビリティへの取組み

旧郵政省における取り組みを紹介する。

  • 平成11年、郵政省・厚生省共同研究会で「アクセシブルなウェブコンテンツの作成方法に関する指針」を発表
  • 平成12年度、アクセシビリティ支援システム「J-WAS(仮称)」開発
  • 平成13年度、実証実験スタート

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b. アクセシビリティ・チェッカーの必要性

ウェブアクセシビリティは、以下のような特徴がある

  • 一般的なブラウザでの表示・動作とは別の問題(どこが問題か、に気づきにくい)
  • 数多くの点検項目(どこから手をつければいいのかが分かりにくい)

したがって、ウェブアクセシビリティ改善の足がかりとしての点検システムが必要

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c. アクセシビリティ支援システム「J-WAS」

J-WASは、アクセシビリティを総合的に支援する、3つの機能を提供。

ウェブ点検・修正機能
任意のページのアクセシビリティを点検。必要に応じてページの修正を支援。
アクセス支援機能
高齢者・障害者の条件に合わせて、ウェブページを使いやすく変換。
アクセシビリティ体感機能
様々な利用環境でのウェブページの見え方、聞こえ方を例示・解説

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d. J-WASの特徴

J-WASは以下のような特徴を有している。

  • 誰でも利用できる公開型システム
  • ウェブアクセシビリティにおける日本語固有の問題に対応
    • 英語との表記方法の違い、略語・難語への対応
    • 携帯ウェブへの対応、など
  • 点検・修正に4つのレベルを用意
    • 入門レベルである「B」を独自に用意
  • 日本語で詳細な解説や修正アドバイスを表示

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e. J-WASの実演

ここでは、以下のJ-WAS機能について、その操作を実演する。

  • J-WASによる点検・修正
  • アクセス支援機能
  • アクセシビリティ体感機能

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f. 実証実験のねらい

この実証実験の主な狙いは、以下のとおりである。

  • ウェブアクセシビリティの啓蒙
  • 高齢者・障害者がウェブを利用する際の課題の把握
  • J-WASの有用性、機能・使い勝手の評価
  • アクセシビリティの高い日本語ウェブページを増やす

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g. 実証実験の構成

この実証では、以下のようなことに取り組んでいる。

  • J-WASのインターネット公開
    • 「みんなのウェブ」での情報提供
    • アクセシブルサイトの申告と紹介
  • 講習会等の開催
  • 主要サイトのアクセシビリティ調査
  • 実験協力地域での取組み
    • アクセシビリティ講習会の開催
    • 視覚障害者・高齢者などのウェブ利用者側と、地元の参加企業・団体などのウェブ提供者側の交流会の開催
    • アンケート調査の実施、など

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h. 国内のウェブアクセシビリティの現状

平成13年9月に、J-WASを使って国内の主要な団体や企業のウェブサイトのアクセシビリティ度合いについて調査を実施した。

その結果、各団体や企業のホームページ(トップページ)には、平均100ヶ所以上の問題が見つかった。

結果の概略は以下のとおりである。

  • 官公庁
    • 優先度1の問題点、平均18.7ヶ所
    • 優先度2の問題点、平均105.4ヶ所
    • 優先度3の問題点、平均7.2ヶ所
    • 合計で、平均131.3ヶ所の問題点
  • 自治体
    • 優先度1の問題点、平均45.0ヶ所
    • 優先度2の問題点、平均104.3ヶ所
    • 優先度3の問題点、平均19.5ヶ所
    • 合計で、平均168.8ヶ所の問題点
  • 大学
    • 優先度1の問題点、平均15.4ヶ所
    • 優先度2の問題点、平均57.5ヶ所
    • 優先度3の問題点、平均8.6ヶ所
    • 合計で、平均81.5ヶ所の問題点
  • 民間企業
    • 優先度1の問題点、平均51.4ヶ所
    • 優先度2の問題点、平均147.4ヶ所
    • 優先度3の問題点、平均11.2ヶ所
    • 合計で、平均210.0ヶ所の問題点

以上、アライド・ブレインズ株式会社の調査による。

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i. 実証実験参加・協力団体

それぞれの実験協力地域で、以下のウェブ発信側と高齢者・障害者などウェブ利用者に参加してもらい、実証実験を実施している。

  • 岡山県
    • ウェブ提供者側
      • (株)ベネッセコーポレーション
      • (株)中国銀行
      • 社会福祉法人岡山県社会福祉協議会
      • 労働福祉事業団吉備高原医療リハビリテーションセンター
      • 吉備松下(株)
      • 西尾総合印刷(株)
      • (株)リオスコーポレーション
      • (株)両備システムズ
      • 岡山県
    • ウェブ利用者側
      • 岡山県立岡山盲学校の先生方
      • 吉備高原都市高齢者の方々
      • 吉備高原都市ボランティアの方々
  • 仙台市
    • ウェブ提供者側
      • 仙台市
      • 仙台市社会福祉協議会
      • せんだいメディアテーク
      • 株式会社コミネット仙台
      • 株式会社仙台ソフトウェアセンター
    • ウェブ利用者側
      • 仙台シニアネットクラブ
  • 福岡市
    • ウェブ提供者側
      • NHK福岡放送局
      • 株式会社福岡放送
      • 九州朝日放送株式会社
      • テレビ西日本
      • 株式会社井筒屋
      • 株式会社博多井筒屋
      • 株式会社岩田屋
      • 美野島商店街
      • 西日本鉄道株式会社
      • 株式会社FIT
      • 福岡市
    • ウェブ利用者側
      • Webアクセスを考える会
      • 特定非営利活動法人シニアネット福岡
  • その他
    • ウェブ提供者側
      • 各省庁
    • ウェブ利用者側
      • 横浜市立盲学校
      • View-Net神奈川

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j. 実験協力地域での取り組みの流れ

地元自治体、企業と障害者・高齢者が意見交換しながら、アクセシビリティの改善に取り組んで貰う。

  1. 地元企業・団体に、アクセシビリティ講習会に出席してもらう
  2. 地元企業・団体に、J-WASを使って自サイトを点検してもらう
  3. ウェブ利用者側には、参加企業・団体のサイトを利用し、評価してもらう
  4. 両者に集ってもらい、情報交流会を開催
  5. 地元企業・団体には、可能な範囲でサイトの改善に取り組んでもらう
  6. ウェブ利用者側には、意見交換会に出てもらったり、J-WASの支援機能を使ってもらう
  7. 最後に、システムの有効性やウェブアクセシビリティに関するアンケートに回答してもらう

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k. 講習会、情報交流会

それぞれの実験協力地域などで実施した、講習会や情報交流会の様子を、写真で紹介する。

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l. Web評価アンケートの実施

障害者や高齢者に、参加企業や団体のホームページを利用してもらい、使い勝手を評価してもらう以下のようなアンケートを実施した。

  1. 事務局が、サイト内の情報から、クイズを出題
  2. 15分の制限時間以内にサイトを利用し、回答を探し出してもらう
  3. サイトの使いやすさや、配慮の有無、利用上の問題をアンケートに回答してもらう
  4. アンケート結果から得られた情報を、企業や団体へフィードバックする

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m. Web評価アンケートの例

バス会社であるN社のホームページからの出題例を紹介する。

問:バスの時刻について、お伺いします。△町四丁目のバス停から、○□駅行きのバスが出ています。平日、○□駅行きの最終のバスは、△町四丁目のバス停を何時何分に発車するでしょうか?

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n. Web評価アンケートの回答結果例 その1

アンケートの結果、シニアでは正解者が86%いたが、視覚障害者では正解者が41%しかいなかった。視覚障害者には、こうしたサイトでの情報が取得しにくいことがわかる。

情報の取得のしやすさを尋ねたところ、シニアでは57%の人がそれほど苦労しなかったとの回答であったが、視覚障害者では53%の人が少し苦労した、29%の人がとても苦労したと回答している。視覚障害者にとっては、かなり苦労する作業である。ただし、シニアでも少し苦労したが29%、とても苦労したが14%あり、シニアにとってもこのサイトの操作は、決して簡単ではなさそうである。

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o. Web評価アンケートの回答結果例 その2

アンケートでの自由記述におけるコメント例を以下に挙げる。

  • 狭い範囲に情報量が多いので、見にくくなっている。ゆとりを持ったページ作りをしてほしい。(高齢者)
  • 検索ページを開くたびに、同じ注意事項が読みあがられてなかなか検索結果を確認できない。(視覚障害者)
  • NOFRAMES タグを試用しているが、フレーム未対応の利用者に代替手段を提示しおらず、誤った使い方ではないか。(視覚障害者)

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p. 実証実験の成果−関係者の意識の変化

交流会で実際の利用状況を見聞きしたことが、強いインパクトを与えている。

実験参加以前の考え方は、以下のような状況であった。回答者数は16名、複数回答。

  • コストのため配慮しなかった:38%
  • デザイン性を重視した:38%
  • 技術がわからず配慮しなかった:31%
  • 配慮が必要とは知らなかった:19%
  • 自サイトの利用者として想定していなかった:6%

交流会への参加者からは、実験に参加した後の感想として以下のような感想がよせられた。

  • 実際の利用状況を体験し、アクセシビリティの必要性を実感した。
  • 配慮不足を痛感。できる範囲で配慮を心がけたい。

一方、交流会には不参加の実験参加者からは、以下のような感想がよせられた。

  • アクセシビリティを高めるのは、現実的に難しい。

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q. 実証実験の成果−アクセシビリティ確保のポイント その1

視覚障害者への配慮としては、以下のようなポイントが明らかとなった。

  • 画像、PDF、FLASH等には、代替テキスト(ALT属性やテキスト等)がないと、内容がわからない。
  • ナビゲーションのリンクが多すぎて、なかなか本文にたどり着けないケースが多い。
  • 情報を探す時には、リンク部分だけを読む傾向がある。リンク文の表現がアクセシビリティに直結。
  • データ表やプルダウンメニューの構造を理解するには相当苦労。

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r. 実証実験の成果−アクセシビリティ確保のポイント その2

高齢者への配慮としては、以下のようなポイントが明らかとなった。

  • 適切な情報の整理、次が想像できるボタン名、わかりやすい操作手順への配慮、つまりユーザビリティが高齢者にとってのアクセシビリティ。
  • たくさんのサイトを調べているうちに、現在位置や履歴を見失いがち。
  • サイト内のボタンを押すにも不安。英語ボタン名だと操作を敬遠。
  • 直前に見ていた画面に戻る操作で戸惑う。例えば、戻るボタンと閉じるボタンの区別。

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s. 皆さんへのお願い

まずは、J-WASを使って自社サイトを点検していただきたい。

アクセシビリティが実現できたら、ぜひ申告を!

実証実験のホームページ「みんなのウェブ」のURLは、http://www.jwas.gr.jp

なお、J-WASを利用するにはこちらへ。http://www.jwas.gr.jp/jwas/index.html

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t. J-WASはどこまで役立つか

J-WASを使えばすべてOKというわけではない。

J-WASは、以下の点において、自分の姿を知る、あるいは応急処置を行うためには、有効なツールである。

  • 自社サイト、ページの問題点が具体的に分かる。つまり、アクセシビリティを検討する最初の手がかりが得られる。
  • 基本レベルの問題については、簡単に修正可能。

ただし、高いレベルの点検には、それなりの知識が必要。J-WASが行うのは、あくまで機械的な点検である。

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u. 今後の課題と取り組みの展開

この実証実験は2カ年の予定で進めており、今後は以下のような取り組みを行っていく予定である。

  • J-WASの機能、インターフェイスの改善
  • 高齢者が使いやすいウェブの要件の整理
  • 言語・聴覚・肢体不自由者等にとってのアクセシビリティの調査研究
  • 人気サイト、生活情報サイト、大企業等への働きかけ
  • ウェブクリエーターへの働きかけ

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