(条文の数字は、音声読み上げソフトの方に配慮して、アラビア数字表記に変更してあります。例:「一〇条」を「10条」と表記)
身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関する法律(平成5年法律第54号)の第3条第1項の規定に基づき、平成5年10月1日付けで通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関する基本的な方針を次のように定めたので、同条第4項の規定に基づき公表する。
平成5年10月1日
郵政省告示第503号
改正 平成9年10月1日
郵政省告示第501号
改正 平成17年3月18日
総務省告示第302号
改正 平成27年3月31日
総務省告示第147号
社会経済の情報化の進展に伴い、社会生活や経済活動における情報の果たす役割の重要性が増大しており、必要な情報を円滑に入手及び交換できることが、あらゆる人々にとって、社会生活を営んでいく上で欠くことのできないものとなっている。
近年、多様な新しい通信・放送役務が実用化され、いわゆる「多メディア・多チャンネル化」が急速に進展している一方で、身体上の障害を有する人々は、情報の入手及び交換手段としての通信・放送役務を利用することが不自由な場合があり、その利便性を十分に享受できているとは必ずしもいえない現状にある。
テレビジョン放送、ラジオ放送、電話といった最も基本的な通信・放送役務についてみても、視聴覚障害者の利用には著しい不便がある。これを補うものとして、例えば、テレビジョン放送については、解説番組や字幕番組等の放送があるが、その放送時間は十分でなく、また、放送対象地域も極めて限られている場合がある。
こうした現状を踏まえ、誰もが等しく通信・放送役務の利便性を享受できるようにするという通信政策の基本に基づき、身体に障害があるために通信・放送役務を十分に利用できない者についても、当該通信・放送役務を円滑に利用できるようにしていくことが必要である。
身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関する法律(以下「本法」という。)は、以上のような状況にかんがみ、通信・放送身体障害者利用円滑化事業を推進することにより、通信・放送役務の利用に関する身体障害者の利便の増進を図るものであるが、施策の基本的な方向は次のとおりとする。
多様な通信・放送役務が開発され、利用されているなかで、あらゆる通信・放送役務が身体障害者にとって利用可能となることが求められているが、とりわけ、テレビジョン放送において、視聴覚障害者への対応が喫緊の課題となっている。
このため、当面、通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関しては、テレビジョン放送における視聴覚障害者への対応に重点を置くこととし、解説番組及び字幕番組の放送時間数の拡大及び放送地域の拡大に努めることとする。
なお、その他の通信・放送身体障害者利用円滑化事業についても、財源の状況や身体障害者のニーズ等を勘案しつつ必要な措置を講じていくこととする。
「特殊法人等整理合理化計画」(平成13年12月19日閣議決定)において、通信・放送機構(現国立研究開発法人情報通信研究機構)の通信・放送事業者に対する助成等につき講ずべき措置として、「国が明確な政策目標を定め、合わせて当該目標が達成された場合又は一定期間後には助成措置を終了することを明記する。さらに、事後評価を行い、その評価結果を踏まえて助成の在り方を適宜見直す」こととされている。当該計画を踏まえ、本法に基づく各種助成措置については、行政機関が行う政策の評価に関する法律(平成13年法律第86号)の規定に基づき、総務省が行う政策評価において施策目標を明記し、当該目標が達成されたとの評価を得た場合には、本基本方針の見直し等必要な措置を講じることとする。
本法において、その推進を図ることとしている通信・放送身体障害者利用円滑化事業は、身体障害者の通信・放送役務の利用に関する利便の増進に著しく寄与するものであることが必要である。具体的には、テレビジョン放送、電話等広く国民に普及している通信・放送役務であって、その利用について身体障害者のニーズが高いものである必要があり、さらに事業実施の効果も全国的に広く及ぶものであることが望ましい。
また、この通信・放送身体障害者利用円滑化事業は、身体上の障害のために利用に支障が生じている通信・放送役務について、身体障害者がこれを円滑に利用できるようにすることを目的とするものであり、具体的には、特定の通信・放送役務の利用について身体上の障害のために困難が生じている場合に、当該通信・放送役務を実質的に利用可能にするために、これを補完し、代替し、又はそのアクセスの改善を図るものである。
本業務は、解説番組及び字幕番組の放送その他の身体障害者のための通信・放送役務を提供し、又は、これまで、実施されていない身体障害者のための通信・放送役務を開発することにより、身体障害者の通信・放送役務の利用の円滑化を図るものである。
通信・放送役務を開発する業務は、必ずしも技術開発を伴う必要はなく、既存の技術を用いて身体障害者向けの通信・放送役務を開発するものも含まれるものである。
また、開発された通信・放送役務は、その後開発を行う者により実際に提供されることを前提とするものである。
本業務は、身体障害者が車いす等で利用できるよう公衆電話ボックスの床面積を拡大し、電話の位置を低くする等の整備をして提供する車いす用公衆電話ボックスの整備を主な対象とするものであり、その整備の促進により身体障害者の通信・放送役務の利用の円滑化を図るものである。
本業務は、テレビジョン放送において送られる静止し、または移動する事物の瞬間的影像を視覚障害者に対して説明するための音声その他の音響を聴くことができる放送番組である解説番組、及びテレビジョン放送において送られる音声その他の音響を聴覚障害者に対して説明するための文字放送番組である字幕番組のほか、手話付き番組その他の視聴覚障害者の放送の円滑な利用を図るための放送番組を制作し、これらの放送番組の放送の増加に寄与するものである。
1 身体障害者のための通信・放送役務を提供する事業は、全国的にみて地域的な偏りのないよう実施されるものとすること。
2 一事業者の役務提供対象地域が、地域限定的である通信・放送役務については、当該役務が提供される地域ができるだけ早期に全国的に拡大するよう図るものとすること。
以下は、このページの奥付です。
原本作成日: 2002年4月1日; 更新日: 2022年2月28日;