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ウェブアクセシビリティを取り巻く環境の変化について(3/4)

3. ウェブ制作の現場はこれからどう変わっていくのか

JIS X 8341-3:2010は、今はまだ規格票となる部分の原案しかできていない状況ですが、先ほどお話した通り、現在解説書にあたるUnderstanding WCAG 2.0や、Techniques for WCAG 2.0を翻訳する作業を進めているところです。JIS X 8341-3:2010が公示されるタイミングで、これらのドキュメントを日本語で読めるようになると思います。また、Understanding WCAG 2.0の日本語訳をベースにしたJIS X 8341-3:2010の解説書を作成して公開する準備も進めています。

ウェブの制作者側が行う作業としては、まずは規格本文で達成基準を確認する。達成基準自体は、特定の技術に寄らないように抽象レベルが高く書かれているので、次に解説書(Understanding WCAG 2.0)を読んで、1つ1つの達成基準の意図や、達成基準を満たすことによってどういうユーザーがどんなメリットを得るのかを理解する。さらに、達成基準を満たすためのテクニック集(Techniques for WCAG 2.0)で具体的なテクニックの内容を確認し、実装する、という風に、幾つかのステップを経ることになります。

こう見ると、工程が多く複雑になったように感じるかもしれませんが、逆に2004年版には、いい例、悪い例等の事例紹介はあったものの、このような周辺文書がなかったため、解釈がまちまちで、時に間違った見方をされてしまうこともありました。今回は、きちんとドキュメントが用意され、かつブラウザやスクリーンリーダー等による検証結果を踏まえてのリコメンドがされた状態になる予定なので、明確性もあり、さらに基準が数値化された達成基準については、どんなチェックツールを使って誰が判断しても、同じ結果が出てくることになります。

これらが軌道に乗れば、コンテンツを作る側の逡巡は、かなり軽減されてくるのではないかと思います。例えば、背景色と文字色のコントラストについては、2004年版では、「読みやすい色を使いましょう」というような、あいまいな言い回しだったのに対し、今回ははっきりとコントラスト比という基準が出ていて、等級AAでは4.5:1以上でなくてはならない、と数値化されています。

このコントラスト比に関しては、デザイナーにとっては、最初は制約のように受け止められてしまうかもしれませんが、そもそもウェブコンテンツというのは情報を伝えるもの。多くのユーザーにとって、より読みやすい文字情報を提供するためのコントラストの基準が明確に示されるようになるのだ、という風に受け止めてもらえればと思います。

また、今回のJISでは「自己適合宣言」ができるようになります。通常の製品だと「JISマーク」をつけられるのですが、ウェブコンテンツの場合、あまりそういう作法がなじみませんよね。なので、自己適合宣言をすることによって、自分たちのサイトがJIS規格に適合していることをとアピールすることができるようにと考えられているのも、改正JISの新たな特徴になります。

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