前回、視覚障害者の情報アクセスを「ソーダストローのアプローチ」と紹介しました。しかし、一口に視覚障害といっても、実際には障害の程度差や個人差があり多種多様です。
そこで、今回は一歩進んで、視覚障害者がコンピュータを使ってインターネットを利用するときに、どんなハードルがあって、それを解決する手段としてどんな方法があるのかを調べてみましょう。
まず、理解しておきたいのは重度視覚障害者、つまり画面表示を利用できない全盲者(盲人)だけが視覚障害者ではないということです。
たしかに、全盲者は画面をまったく利用できないので、画面の情報を音に変える音声合成技術や、点字ディスプレイなどを利用しなければ、コンピュータが使えません。
しかし、忘れてはいけないのは、全盲者よりもはるかに多くの弱視者と呼ばれる人たちがいることです。見ることはできるけれども、実際に目で見て作業をしたり、文字を読んだりするのが非常に困難な人たちが、少なくとも全盲者の数倍いることがわかっています。特に、高齢化が進むにしたがって、糖尿病による網膜症や白内障、緑内障といった病気が原因で見えづらくなった高齢者に、いかに対応していくかという問題がますますクローズアップされてきています。
また、特定の組み合わせの色を区別できない、あるいは区別が困難な色覚障害者は、統計的に男性の5%程度を占めるといわれています。こういった多様な視覚障害をもつ人々にいかに対応していくかということを考えておく必要があるのです。
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原本作成日: 2005年12月20日; 更新日: 2019年8月6日;